卒業式後急逝の元福島東高教諭 日高郁子さんの教えアルバムに
がん闘病の末、三月に天国へ旅立った福島東高教諭の日高郁子さん=享年(60)=の元同僚の斉藤章子教諭(52)=保原高=ら三人は十一日、南相馬市原町区の日高さんの自宅を訪れ、日高さんが教壇に立ち続けた証しなどをまとめたアルバムを届けた。斉藤教諭らは遺影に手を合わせ、「丁寧な板書と指導はわれわれの手本だった。日高先生のようになります」と誓った。
三学年を担任していた日高さんは、三月一日の卒業式で四十人の教え子の門出を見届けた翌日に亡くなった。闘病は近しい人にしか伝えられておらず、多くの人が突然の死に言葉を失った。
斉藤教諭は「先生の学校での姿を家族に伝えたい」と考え、アルバムなどを贈ることを提案した。生徒や教職員、保護者に写真や動画、メッセージを募った。当時、共に福島東高に勤務していた渋川恭子教諭(52)=本宮高=、クームズ茂子教諭(46)=保原高=と作業し、三月末に完成させた。
贈ったのはアルバムや文集、日高さんが執筆した校内便り「東高通信」をとじたファイル。日高さんの数学の授業や文化祭、スポーツ大会、卒業式などの場面がつづられている。アルバムの最初と最後のページには、「はーい みなさん いいですかー?」「大丈夫だから…」と日高さんの口癖を添えた。
斉藤教諭は「頼れるお姉さんだった。先生の教えは私たちの中に生き続ける」と誇らしげに話した。
日高さんの夫で元相馬高校長の裕志さん(66)は「宝物にします」と受け取った。卒業生の保護者が撮影した卒業式の映像を見ると涙があふれた。「間違いなく体力的に限界だった。最後の力を振り絞り、よくここまでやってくれた」と最愛の妻をねぎらった。