【特ダネ】浜通りでプレミアム商品券事業 県、今秋から宿泊や飲食店で交流人口拡大目指す
福島県は今秋、浜通りの宿泊や飲食など幅広い業種の希望店舗を対象に、県内自治体で初となる電子決済型のプレミアム商品券事業を展開する方針を固めた。交流人口増加と地域消費拡大を目指す5カ年の地域活性化事業の一環。地域の特色を生かしたイベントやツアーを開発する事業者や、広域誘客の促進に取り組む団体への費用補助制度も新設する。
対象は浜通り13市町村に、東京電力福島第一原発事故の避難区域が設定された田村と川俣を加えた計15市町村。
プレミアム商品券事業は民間の既存の決済アプリを活用。観光客らがスマートフォンを使ってQRコード決済をした場合、全国で現金の代わりに使えるポイントが事後的に還元される仕組み。プレミアム率は最大30%、1人当たりの還元額の上限はキャンペーン1回につき1万円で最終調整している。
宿泊、飲食、観光、小売、交通など幅広い業種の店舗が参加できるようにする。店舗側はQRコードを記したボードなどを設置する必要があるが、この費用も負担される。県は初年度について約1500店の参加を見込む。
電子決済の場合、利用者が商品券を事前に購入する必要がなく、県外の観光客らも手軽に使える。店舗側は、紙の商品券と比べて代金が迅速に入金される利点がある。
初年度は対象全域で数カ月間連続のキャンペーンを実施。2年目以降は各地の催事などに合わせ、エリア別の比較的短期間のキャンペーンを次々と展開する計画だ。
イベントやツアーの開発費補助制度は広告費や設備修繕費、広域周遊促進に向けた補助制度は調査費や広告費などが支援対象。地域に人を呼び込む目玉となるコンテンツをつくり、周辺地域の経済活性化に結びつける。
2019年の県内の観光入り込み数は延べ5634万人で、原発事故発生前の2010(平成22)年の98・5%まで回復。中通りは115・7%、会津地方は103・2%と100%を上回った一方、浜通りは69・5%にとどまっていた。