福島県の「基準地価」発表 全用途の平均変動率2年連続マイナス

 

 福島県は21日、今年7月1日時点の県内の地価調査結果を発表した。人口減少に伴う土地需要の低迷に加え、2019(令和元)年10月の台風19号などによる浸水被害や新型コロナウイルス感染拡大による経済停滞の長期化が響き、地価の動きを示す全用途の平均変動率は0・5%減(前年0・6%減)で2年連続のマイナスとなった。下落幅は縮小したものの、変動率は全国平均の0・4%減を下回った。全国順位は昨年と同じ16位だった。

 住宅地、宅地見込地、商業地、工業地を合わせた全用途の平均変動率の推移は【グラフ】の通り。林地などを除いた基準地504地点のうち、地価が上昇したのは111地点(前年比16地点減)、横ばいも111地点(同23地点増)、下落が282地点(同7地点減)となった。

 住宅地価格の県全体の平均変動率は0・5%減(前年0・6%減)で2年連続のマイナス。市町村別では、人口減少などで宅地取引が少ない矢祭町が3・4%減(同3・3%減)で下落率が最も大きい。金山町の2・8%減(同0・9%減)、西会津町の2・6%(同1・5%減)など過疎化が進む町村部での減少が顕著となっている。

 一方、上昇率は富岡町が1・7%増(同2・0%増)で3年連続トップとなった。東京電力福島第一原発事故に伴う避難指示の解除後の復興関連事業に伴う単身赴任者向けのアパート建設が継続するなど需要が高い。

 商業地価格の県全体の変動率は0・7%減(前年0・8%減)で、2年連続のマイナスとなった。新型コロナの感染拡大の影響が長期化している温泉街や観光地、飲食系の繁華街などで下落が続き、平均変動率を押し下げた。裏磐梯などへの観光客が減っている北塩原村が5・0%減(同4・1%減)で、昨年に続いて最も下落率が大きかった。

 新型コロナの影響について、不動産鑑定士の佐藤栄一県地価調査代表幹事(60)は温泉地や繁華街などで下落している一方、幹線道路沿いの商業地では上昇し、業態によって差が生じていると分析。「コロナの収束が見えてくれば、価格の下げ止まりや回復に向かう可能性がある」との見方を示した。

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