「おおくまーと」で、大熊町を味わう、感じる

 

「今日のランチは、大熊で食べる?」
双葉郡で暮らし、働く人たちの間で、そんな会話ができるようになりました。2021年4月に、大熊町商業施設「おおくまーと」がオープンしたからです。

 

「おおくま」と「マート(市場)」を組み合わせた可愛い名称の「おおくまーと」には、4つの飲食店とコンビニエンスストア、雑貨店、電器屋、美容室、コインランドリーがあります。震災前から大熊町で営業していた店舗も多く、懐かしの味や店主との再会を求めて訪れる人も少なくありません。
この記事では、特に飲食店にスポットを当てて、おおくまーとを紹介していきます。

 

 

 

魚定食おしだでは、週に3回いわき市中央卸売市場と、久之浜地方卸売市場で仕入れる新鮮な魚介類を使った魚料理を提供しています。震災前から魚屋だった目利きは間違いなく、海鮮丼や刺身はもちろん、焼き魚、煮魚、フライなどの定食も好評です。

大粒のカキフライと刺身定食

 

「再開したお店に、地元のお客さんが来てくださることが、まずとてもうれしいですね」と話すのは、社長の押田大司さん。また、お客さんには復興作業をしている人や国や県の職員の人も多いそうで「そういう町外から来た人たちには、浜通りならではの、新鮮で美味しい魚を楽しんでもらいたいと思っています」と、地元の魚屋らしい言葉も。

 

飲食業とは全く違う仕事をしていた押田さんですが、大熊町での再オープンを機に、家族で地元に戻りました。「両親だけでこのまま続けるのは難しいと感じたことと、やはり自分が継がなくてはと思ったんですね。これからも、お客さんの期待に応えられるように、少しずつ変化しながらお店を続けていきたいと思います」と控えめな笑顔を見せました。

魚定食おしだの刺身は、おおくまーと内「ニューヤマザキデイリーストア大熊町大川原店」でも販売。家でも、魚定食おしだの味が楽しめます。

 

 

 

 

 

軽食・喫茶レインボーでは、40年喫茶店でコーヒーを淹れ続けてきたマスター・武内一司さんが、サイフォンで淹れるコーヒーを是非味わってみてください。
「これが、雑味のないコーヒーって言うんだよ」、と手渡してくれる熱々のコーヒーは、苦みと酸味が絶妙なすっきりとした味わい。ブラックが苦手な人でも、すんなりと飲める味です。

 

 

 

また、町の新名産を目指して生産されているいちごをつかった「おおくまベリーミルク」も人気です。ベースとなるジャムはいちごの触感を残しつつ、甘くなりすぎないよう牛乳とヨーグルトで味を調整しています。「大熊を前面に出したような商品を」と、いちごを生産するネクサスファームおおくまと協力してレシピを開発しました。

 

マスターは、喫茶店経営だけでなく、町の賑わいづくりにも一役買っています。

震災前のレインボーは客席が50席ほどあり、時々店内でバンド演奏などのイベントを行っていたそう。大熊町内の音楽好きを集めて「大熊音楽連盟」と名づけ、事務局を担っています。「今はとにかくなんでもやって、町を盛り上げていかなければと思っている」と、コーヒーを淹れながら話してくれたマスター。

2021年のクリスマスには、施設内の「linkる大熊」で、マスターらが企画したミニコンサートが開催され、大いに盛り上がりました。

 

 

 

和食さかいは、昼は定食・夜は居酒屋になります。
ランチは15種類以上のメニューから選べる、ボリューム満点の定食を、
夜には福島の日本酒や各地の焼酎、種類豊富なおつまみ・食事メニューを楽しむことができます。
大熊町にはまだ居酒屋が無いので、夜こうしてお酒を飲める場所があるのは、町に暮らす人にとっては有難いことです。

 

 

 

秋田白神こだま酵母の無添加手作りパン はるカフェでは、お店の名前の通り手作りパンでのモーニングとランチ、日替わりパンのテイクアウトを行っています。
酵母にこだわった無添加の手作りパンはファンが多く、テイクアウトするなら早めの来店がおすすめ。

シフォンケーキセットのケーキも日替わりで、クリームやあんこの量を調節してもらえます。お茶をしながら店主とお話ししたり、各席に電源があるので、ちょっとしたPC作業をすることもできます。

 

 

 

道路に面した駐車場のすぐ隣にある雑貨店・鈴木商店には、洗剤などの日用雑貨や化粧品のほか、見ているだけで楽しい気持ちになるおしゃれでセンスのある食器やインテリア、こだわりのコーヒーや食品などが並びます。
双葉郡では、プレゼントや贈答品、自分へのご褒美としての「おみやげ」を買える場所が少ないため、町に暮らす人たちにとって、鈴木商店は貴重な存在なのです。

 

 

 

コンビニエンスストア・ニューヤマザキデイリーストア大熊町大川原店では、店内で焼き上げる、大熊町にちなんだクマ型の食パンが人気。

町内で生産されたいちごやジャムなどの加工商品、おおくまーと内の魚定食おしだの刺身、和食さかいの弁当も扱っており、地元に密着した品ぞろえです。

おおくまーと内では唯一、土日祝日も営業している店舗です。
地元の人に向けて、クリーニングの受付もしています。

 

 

飲食店以外の店舗も、町の暮らしを支えています。

 

さつき美容室は、土曜・日曜の完全予約制。自身の予定に合わせての施術を、
たきもとでんきでは、生活に必要な各種電化製品を取り扱っています。

コインランドリー大川原店は、年中無休・24時間営業なので、仕事で遅くなっても安心です。

また、おおくまーと内のトイレは、朝8時~22時まで利用可能。まだ商業施設が1つしかない大熊町では、公衆トイレ機能も重要です。

 

 

2022年2月現在、大熊町の商業施設はこのエリアのみで、おおくまーとの8店舗は、それぞれが大熊町を支え、盛り上げています。
もちろん、まだ足りないものも多いかも知れません。

しかし、町に暮らす人、戻ってくる人、そして新しく訪れる人を、出迎えてくれるおおくまーとは、大熊町の懐かしくも新しい「味」を感じさせてくれる場所になっています。

 

 

文・写真 山根麻衣子(双葉郡在住ローカルライター)

 

 

おおくまーと
営業時間・曜日は店舗により異なり変動するので、
来店前にHP掲載の各店舗にお問い合わせください
公式HP
https://okumakouryu.jp/okumart/

公式SNS 大熊町交流ゾーン【福島県双葉郡大熊町】
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