福島県葛尾村でエビの陸上養殖事業 4月から実用化試験
実用化試験を行うハウスの前で、バナメイエビ養殖への意欲を見せる松延社長(中)ら
2022/03/23 21:12
葛尾村で陸上養殖するバナメイエビ
東日本大震災、東京電力福島第一原発事故からの復興が進む福島県葛尾村で、新たにエビの陸上養殖事業が始まる。上下水道コンサルタント大手の日本水コンが、いわき市の水産加工品卸の山菱水産、三菱電機などと株式会社「HANERU(はねる)葛尾」を設立し、食用のバナメイエビを養殖する。4月に実用化試験に入り、2024(令和6)年度には大規模工場で国内最大規模の養殖を目指す。
村内で太陽熱を活用した給油システムを構築。バナメイエビを養殖、加工して商品化する。バナメイエビの養殖先進地としてPRすることで、若者の帰還や移住への意欲を醸成し、村の復興につなげる。
村産業団地に実用化試験に向けた養殖用のハウスを建設する。現在、水槽やタンク、給湯施設などを整備している。国や県の補助金を活用して2023年度中に年間約50万匹を出荷できる体制を整え、2024年度からは施設を増設した上で、国内最大規模となる年間約880万匹の出荷を目指す計画だ。
将来的には村の名産品として発信するとともに、新たな雇用創出や観光産業の振興にもつなげていく。ふるさと納税への活用も検討している。
バナメイエビは食卓で親しまれている一方、近年は不漁で価格が高騰している。県内ではJR東日本水戸支社がJR常磐線浪江駅で陸上養殖を始めている。
HANERU葛尾の松延紀至社長(48)は23日、福島民報社の取材に「葛尾村から国内外に誇れるバナメイエビの養殖施設を作る」と夢を語った。