ホテル飛天、地震に負けず入浴営業再開 福島・相馬
「地震に負けず、前に進みたい」と話す管野さん
2022/03/27 21:13
福島県相馬市松川浦沿いにある宿泊施設「ホテル飛天」は26日、同ホテルの温泉入浴営業を再開した。16日の地震では同地区の旅館や民宿の多くで施設や設備が損傷し、関係者に落胆が広がる。だが、社長の管野貴拓さん(46)は「地震に負けたくない。自分がまず前を向いて立ち上がり、同業の仲間にも『諦めずもう一度頑張ろう』という思いを伝えたい」と再起を誓う。
ホテル飛天は昨年2月の地震で大浴場のボイラーなどが壊れ一時休業。仮復旧による営業を経て、今月11日に完全再開したばかりだった。だが、わずか5日後に今回の地震で再び被災。「またか…と、気持ちが沈んだ」という。
今回の地震で入浴施設の給排水管が壊れたが、機械類の被害は免れた。地震後、市内では全域断水が続いていた。「少しでも早く、困っている市民に入浴場所を提供したい」と気持ちを奮い立たせ、業者と従業員で応急復旧を急いだ。
実家が旅館を営み、松川浦観光振興グループ事務局長も務める管野さんは2月末、飛天の創業者で先代社長の宗形英雄さん(74)から経営を引き継いだ。相馬のにぎわい復活を目指し、歴史あるホテルでの新たな挑戦に踏み出したばかりだ。
度重なる災害とコロナ禍のダメージは地域に重くのしかかる。それでも管野さんは「観光地・松川浦をこのまま衰退させられない。仲間と手を携えて一歩ずつ復旧し、再び相馬の浜の元気を発信する」と決意している。
ホテル飛天の入浴営業は午前10時から午後6時(最終入場午後5時)まで。第1、第3月曜日は定休。