「後世に語り継ぐ」 福島県南相馬市出身の特攻隊員・中野磐雄少尉を慰霊

 

中野少尉の胸像前でオカリナを演奏する谷口さんと、参列した黒川さん

 

2022/10/31 09:20

 

 福島県二本松出身で埼玉県在住の谷口恵さん(61)は、南相馬市原町区出身で、神風特別攻撃隊の一員として1944(昭和19)年にフィリピン沖で戦死した中野磐雄少尉の胸像がある原町区の夜の森公園で10月25日、慰霊顕彰祭を行った。

 中野少尉が海軍の特攻隊の第1陣「敷島隊」の一員として出撃し、19歳で亡くなった日に合わせ、2年前から続けている。仕事でフィリピンに滞在していた9年前、現地の人から特攻隊の話を聞き、中野少尉の存在を知った。原町区では関係者が高齢化したため2014(平成26)年以降、中野少尉の慰霊祭は途絶えている。「福島県人として、忘れてはならない」と取り組んでいる。

 今年は中野少尉も入隊していた甲種予科練で中野少尉の1年後輩だった東京の故黒川啓さんの長男、壮之介さん(69)も参列した。壮之介さんの父は出撃目前で終戦となり死を免れたが、父の兄は中国で戦死していいる。東京の靖国神社で谷口さんと知り合い、中野少尉の慰霊顕彰祭に同行した。

 2人は中野少尉と共に命を落とした敷島隊員の遺影や花、壮之介さんの父宛ての寄せ書きが入った日章旗などを胸像の前に飾った。中野少尉が飛び立った午前7時25分ごろ、祭壇に手を合わせ、冥福を祈った。谷口さんはオカリナで「君が代」「海ゆかば」「ふるさと」を奏で、霊を慰めた。

 谷口さんと黒川さんは「戦争はあってはならないことだが、国のために命をささげた方々に感謝し、後世に語り継いでいきたい」と話している。

 

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