サッカー日本代表専属シェフ 西さん(広野在住)に特別賞 福島民報スポーツ大賞 食事面で選手支える

 

西芳照さん

 

2022/12/25 09:50

 

 福島民報社は、サッカー日本代表の専属シェフの西芳照さん(60)=南相馬市小高区出身、広野町在住=に福島民報スポーツ大賞特別賞を贈る。ワールドカップ(W杯)カタール大会では、コロナ禍や物価高で国民が厳しい状況にある中、強豪を次々と撃破し「希望の光」となった日本代表を食事面で支えた。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生後は食を通し地域復興に貢献してきた。

 西さんは原町高卒業後に東京都の懐石料理店などで修業を積んだ。1997(平成9)年からJヴィレッジ(楢葉・広野町)のレストランに勤務し、総料理長も務めた。日本サッカー協会からの依頼で2004年に日本代表の専属シェフに就任し、2006年のドイツ大会から5大会連続で同行した。森保一監督が率いた今年のカタール大会には、いわき市小名浜産のさんまのミンチ、相馬市のキュウリの漬物を持ち込み、選手に振る舞った。試合前夜のウナギのかば焼き、試合後のカレーは定番メニューとなり、多くの代表選手に愛されている。

 原発事故の発生後は東京都に一時避難したが、半年後にはJヴィレッジで食事の提供を再開した。県との連携事業で相双地方の郷土料理「すいとん」のレシピを考案するなど、文化振興にも取り組んできた。現在は広野町の公設商業施設「ひろのてらす」でフードコート「くっちぃーな」、いわき市の鹿島ショッピングセンター・エブリアで「NISHI’s KITCHEN(ニシズキッチン)」を経営している。

 西さんは24日、受賞決定を受け、「名誉ある賞を頂きうれしく思う。受賞を励みに今後も勉強を続けたい」と意気込んだ。

 福島民報社が選手(引退者含む)以外のスポーツ関係者に賞を贈るのは初めてで、西さんの功績を踏まえ特別賞とした。後日、贈呈式を行い、表彰状や盾などを贈る。

 

■国内外で活躍選手らが対象

 福島民報スポーツ大賞は国内外の主要な大会で活躍し、県民に感動と誇りを与えた選手や指導者らを対象にしている。これまでの受賞者は次の通り。

 ▽アテネ五輪自転車トラック男子チームスプリント銀メダル・伏見俊昭選手=白河実高出身=▽飛行機の最高峰レース「レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ」優勝・室屋義秀選手=福島市在住=▽世界バドミントン選手権男子シングルス優勝・桃田賢斗選手=富岡高出身=▽ラグビー元日本代表でW杯3大会連続出場・大野均(ひとし)さん=郡山市出身=▽東京五輪バドミントン混合ダブルス銅メダル・渡辺勇大選手、東野有紗選手=富岡高出身=▽東京パラリンピック車いすバスケットボール銀メダル・豊島英(あきら)さん=いわき市出身=▽東京パラリンピック車いすラグビー銅メダル・橋本勝也選手=田村高出身=▽大相撲春場所で初優勝・若隆景関(本名・大波渥さん)=荒汐部屋、福島市出身=

 

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