【浜の希望 被災地で挑む 第1部(4)】浜を酒造りの聖地に 福島県浪江町 ハッコウバ代表の佐藤太亮さん(30)
浪江町の醸造所の予定地で酒造りを通した地域活性化を誓う佐藤さん
2023/01/26 10:40
福島県南相馬市小高区で酒蔵「haccoba―Craft Sake Brewery―(ハッコウバ)」を営む佐藤太亮さん(30)は、浪江町に新たな醸造所を設けようと準備を進めている。「南相馬と浪江を自由な酒造りの聖地にし、浜通り全体を盛り上げたい」と意気込む。
醸造所は陶芸の工房として使われていた建物を改装し整備する。敷地内には東日本大震災の仮設住宅として使われていた建物を移築し、事務所や試飲を楽しめるような店も併設する予定だ。
佐藤さんは埼玉県出身。大学時代に出会った醸造家と交流し、酒造りに関心を持った。会社員などを経て、2019年に南相馬市に移住。起業型地域おこし協力隊員となり、2021(令和3)年から小高区の酒蔵で酒造りを始めた。
日本酒の発酵過程でホップを加える新たな醸造法で、これまでに「クラフトサケ」といわれる20種類以上の酒を造った。原料の生産者だけでなく音楽家と連携するなど、独自の発信の仕方により酒の魅力を広める。
浪江町に新たな醸造所を構える狙いは、市町村の枠を超えて人の流れや文化の盛り上がりを生み出したいと考えたからだ。昨年1月、フェニックスプロジェクトの採択を受け整備に向けて本格的に動き出した。早ければ2月に着工、4月にオープンする予定だ。
新たな醸造所にはクラフトサケに加え、日本酒やビールを醸造できる設備を設ける。浜通り各地で収穫される果物を使った製品の製造も考えている。「浜通りを広く一つの地域として捉え、人を呼び込むことが大切。人々の往来を通して、文化的なつながりや盛り上がりを生み出したい」と思いを語った。(第1部は終わります)
■HAMADOORI13メンバーの応援コメント 相双の食の魅力世界へ 東の食の会専務理事 高橋大就さん
haccobaは間違いなく世界に通用するブランド。浜通りの食文化の素晴らしさを世界に広める先鋒として、この地に根差し世界に羽ばたいてほしい。
■フェニックスプロジェクト 1日から第3期募集
一般社団法人HAMADOORI13と東日本大震災復興支援財団は、浜通りで起業する若者を支援する「HAMADOORIフェニックスプロジェクト」の第3期を2月1日から3月31日まで募集する。
浜通りの地域振興、発展に向けて若者が行う取り組みに、年間1000万円未満を最長3年間補助する。対象は①革新的なアイデアや技術を用いた新しいビジネス②浜通りの社会的な課題にビジネスを通し解決③事業展開の中で経済性だけでなく社会性を追求する|事業としている。
HAMADOORI13のホームページ(https://hamadori13.or.jp/)に募集要項を掲載している。問い合わせは、事務局 メール(hamadori13@gmail.com)へ。