福島県浪江町の歴史や文化ゲームで学んで 町民の記憶をつなぐ 14日オンライン配信

 

浪江町を舞台にしたアドベンチャーゲーム。謎解きやクイズを通して歴史を楽しく学べる

 

2023/02/14 09:30

 

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故発生前の福島県浪江町の歴史や文化を身近に感じてほしい―。町内などで支援活動をしている「NoMAラボ」は14日、町を舞台にした謎解きアドベンチャーゲームのオンライン配信を始める。原発事故による避難で古里の記憶がほとんどない世代に、ゲームを通して地域への関心を高めるのが狙いだ。町民の記憶や歴史を次世代につなぎ、交流人口の拡大に結びつける。

 ゲームの題名は「時の波へ」。現代で町内の海岸を歩いていた少年が絵本を開くと、過去にタイムスリップし、出会った一人の少女と一緒に町内6地区を巡る―という物語。町民の厄介ごとに巻き込まれるが、町の歴史に触れながらクイズや暗号を解読して困りごとを解決していく内容だ。

 NoMAラボ代表の高橋大就さん(47)が、楽しみながら町の思い出を体験できないかと企画した。昨年4月に県内在住のクリエーターら計6人でプロジェクトチームを結成。町民に共感してもらえる内容にしようと、県内外に避難する100人以上の町民から町の思い出を聞き取った。

 ショッピングセンター「サンプラザ」や請戸地区のサケのやな場、津島地区の津島松、大堀地区の大堀相馬焼…。町民の意見を参考に、後世に継承したい記憶をクイズや暗号にした。6問用意し、最後に町の未来を考える問いを設定。グラフィックのほとんどは当時の写真をイラストにして忠実に再現した。

 町は震災と原発事故からの復興が進む一方、居住人口は発生前の1割程度にとどまる。NoMAラボは新たに町に移り住んだ人たちにもゲームで町への関心・興味を深めてもらい、地域発展や人口増などにつなげたい考え。将来的にゲームと連動した「リアル謎解きゲーム」や、ツアーなどのイベント開催も検討している。

 町出身の小学校高学年や中学生は長期の避難生活により、古里の歴史に触れる機会が少なかった。高橋さんは「子どもたちにとって親しみやすいゲームを通して、町の歴史を体験し、町民の記憶や思い出を紡いでほしい。地域の未来を考えるきっかけにもなればうれしい」と期待した。

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 ゲームは14日午前0時から配信開始。パソコンとタブレットから無料で利用できる。

https://tokinonamie.com

にアクセスする。スマートフォンではプレイできない。

 

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