花と緑の葛尾つくる 村有林を公園化 村制100年、新たな顔に 福島県葛尾村
葛尾村が整備する公園の予定地。花と緑にあふれる場所を目指す=5日午前
2023/06/06 10:25
福島県葛尾村は村中心部の村内落合菅ノ又の村有林に、花と緑があふれる公園を整備する。桜などの苗木を植えて花で彩り村民の結束の象徴とし、将来の名所化を図る。村内の居住者は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故発生前の約3分の1にとどまる。3月に村制施行100年を迎え、村の面積の大半を占める森林を生かした復興のシンボルをつくり、帰還・移住推進や関係人口増大の足掛かりとする考えだ。2024(令和6)年度中の完成を目指す。
整備予定地は村宿泊交流館みどりの里せせらぎ荘近くの道路沿いにある村有林で、敷地面積は約2万9200平方メートル。道路に面し、急斜面となっている。福島第1原発から約25キロ離れた場所に位置し、居住制限、避難指示解除両区域に設定されたが、2016(平成28)年6月に解除された。
解除から間もなく7年を迎えるが、居住者は5月1日現在、1298人の住民登録に対して465人にとどまる。中心部から約8キロ離れた野行地区の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示も昨年6月に解かれ、解除から1年が迫るが、生活を再開したのは1人だけだ。
人口減少が課題となる中、村は老若男女に親しまれ、季節ごとに楽しめる「花」に着目。村復興計画の中に公園整備を「村の新たな顔づくり」と位置付け、年間を通して気軽に足を運べる新名所を生み出す。住民の帰還意欲を高め、村を訪れるきっかけをつくる。
村全体の面積84・37平方キロメートルの約8割を占める森林を「資源」と捉え、村有林の伐採は一部とする方針。花は桜など複数の品種の苗木を数百本以上植える計画で、村の花であるツツジの植栽も検討している。苗木の成長は品種によって異なるが、整備には5~10年ほどかかる見通し。管理は村民有志が担う予定で、整備完了後も村民が少しずつ苗木を育てて公園を造り上げる。将来的には花と緑に囲まれた「桃源郷」のような場所を目指す。
散策道やベンチも設ける見通しで、住民同士の交流などにも役立ててもらう。夏から秋ごろ、官民一体となった検討会を立ち上げる予定。住民の意見を聞いた上で、植栽する花の品種や本数など具体的な整備内容を盛り込んだ基本計画を今年度中に策定する見込みだ。総事業費は約1・5億円で、約3分の2は県の補助金を活用する。
村復興推進室の担当者は「移住者や定住者を増やし、関係人口拡大にもつなげていきたい。地域を活気づける新たな村の個性・魅力を発信する場所をつくっていく」としている。
■7日まで臨時支局
福島民報社は5日、葛尾村に「復興臨時支局」を開設した。7日まで村内に取材拠点を設け、記者が滞在する。復興を目指す人々の姿や地域の新たな魅力などを詳報する。
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