日本国憲法の間接的起草者・鈴木安蔵の実家修繕へ 福島県南相馬市小高区 シロアリ被害など深刻

 

大正時代に建てられた鈴木安蔵の実家

 

2023/06/25 09:17

 

深刻なシロアリ被害を受けている実家の内部

 

 福島県南相馬市出身の憲法学者で日本国憲法の間接的起草者とされる鈴木安蔵の功績を伝える「鈴木安蔵を讃(たたえ)える会」は、深刻なシロアリ被害を受けている市内小高区の鈴木の実家を修繕する。

 木造平屋の実家は大正時代後期に建てられた。伝統的な商家造りが評価され、2018(平成30)年に「鈴木家住宅」として国登録有形文化財となった。子孫は東京電力福島第1原発事故前に薬局を営んでいたが、避難指示を受けて県外に移り住んだ。2020(令和2)年に発足した讃える会が空き家となった実家の維持管理に努めている。

 老朽化が進んでシロアリ被害が広がり、2021、2022年の福島県沖地震の被害も出た。建設業者の調べで、全体の修繕には数百万円かかることが判明。当面はシロアリの駆除と床下、床の修理、畳の新調を讃える会として行うことを決めた。

 讃える会は県内外に鈴木の功績を広め、会員や協力者を増やすことで、完全に修復する費用を確保していきたい考え。公的な補助を受けられるよう市の文化財指定に向けた活動も進める。志賀勝明会長は「シロアリ被害対応などは緊急的な措置であり、本格的な保存に向け賛同者を増やしたい」と話している。

 鈴木は旧制相馬中(現相馬高)から旧制二高(現東北大)、京都大に進学し、民衆の幸福を実現するための憲法研究に励んだ。戦後は民間の「憲法研究会」に参加し、憲法草案要綱を提唱。「日本国憲法の間接的な起草者」と称されている。

 

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