福島県内路線価 宅地2年連続上昇 いわき駅前、対前年変動率トップ

 

福島県内トップの対前年変動率となったいわき駅前大通り=いわき市平字三町目

 

2023/07/04 10:29

 

 

 

 仙台国税局は3日、相続税や贈与税の算定基準となる2023(令和5)年分(1月1日時点)の路線価を発表した。福島県内の標準宅地(継続地点)4455地点の評価基準額平均変動率は前年比0・4%のプラスとなり、2年連続で上昇した。

 

 県内標準宅地の評価基準額の対前年平均変動率は【グラフ】の通り。標準宅地は住宅地、商業地、工業地などの用途にかかわらず建物の敷地となる土地を指す。県内の変動率0・4%は全国平均1・5%より、1・1ポイント低く、都道府県別の順位は前年の12位から下がり、20位だった。

 県不動産鑑定士協会副会長で国土交通省地価公示県代表幹事の石田英之さん(50)=郡山市=は今後の見通しについて、「資材高騰の影響などもあり、住宅の建築は都市部の中心市街地より郊外のベッドタウンで増えている傾向が見られる。今後の地価に影響する可能性がある」とみている。

 県内10税務署の最高路線価は【表(1)】の通り。対前年比で上昇したのは福島、郡山、いわき、須賀川の4税務署管内。下落は会津若松、喜多方、田島の3税務署管内。白河、相馬、二本松の3税務署管内は横ばいだった。

 いわき税務署管内のいわき市平字三町目のいわき駅前大通りは1平方メートル当たり14万円で昨年を7・7%上回り、県内トップの対前年変動率となった。専門家は「いわき駅周辺で進められている商業施設やマンション建設などの市街地再開発が地価上昇に影響を与えている可能性がある」と分析している。

 仙台国税局管内の税務署別最高路線価の上位10地点は【表(2)】の通り。県内で最も高かった郡山市駅前1丁目の郡山駅前通り(郡山税務署管内)は1平方メートル当たり31万円で、東北地方で4番目に高かった。

 仙台国税局管内の路線価は、標準宅地の対前年変動率が平均1・3%増で、8年連続で上昇した。県別では宮城県が4・4%で最も上昇し、福島県の上昇率0・4%は東北6県のうち2番目の上昇率だった。

 

※路線価 毎年1月1日時点の主要道路に面した1平方メートル当たりの評価額。相続税や贈与税の算定基準となる。国土交通省が3月に発表する公示地価の8割を目安に売買実例や不動産鑑定士の意見を踏まえた上で決める。各税務署管内の路線価のうち、最高値を最高路線価という。県内には10税務署あるため最高路線価の所在地は10カ所。

 

関連記事

ページ上部へ戻る