【復興臨時支局・富岡町編】デニム着用しサイクリング 11月25日、富岡で初開催 施設巡り復興体感
古里・夜の森地区のにぎわい創出に向け、「デニムラン」の成功を誓う小林さん(左)と参加予定者
2023/09/28 10:05
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興が進む富岡町で11月25日、ファッションとサイクリングを組み合わせた「ツイード デニムラン とみおか・よのもり」が初開催される。ツイードやデニムの衣類・小物を着用し、避難指示が今春解除された夜の森地区からワイン用ブドウ畑や富岡漁港、震災慰霊碑などを巡る。被災地の今を体感してもらい、地域振興につなげるホープツーリズムとしての定着を目指す。
コースは【図】の通り。JR常磐線の夜ノ森駅西側に昨年11月に開いたリメークデニム専門店「YONOMORI DENIM(ヨノモリデニム)」をスタート・ゴールに、富岡駅にある町観光協会までの往復15キロを、ツイードやデニム素材を身に着けて走る。
原発事故の帰還困難区域のうち、4月1日に避難指示が解除された特定復興再生拠点区域(復興拠点)の夜の森地区の桜並木などを通る。沿線に復興の拠点や見どころが多く含まれる。
健康や観光に加え、復興の現状に触れるホープツーリズムの視点も盛り込んだ。新たな産業として栽培が進むワイン用ブドウ畑や津波被害から復旧した富岡漁港を訪れる。3月に建立した津波犠牲者の慰霊碑で追悼し、とみおかアーカイブ・ミュージアムで町の復興の過程や今を学ぶ。沿岸部では海風を受けながら、眺めのよい浜街道を進む。
全国から100人程度の参加を見込む。交流サイト(SNS)で町内の自然や復興の様子を発信してもらい、観光振興や移住定住につなげる。サイクリング後に清掃活動を繰り広げる。
ヨノモリデニム代表の斎藤裕喜さん(44)とマネジャーの小林奨さん(28)が町ににぎわいを生み出そうと企画した。ファッションと自転車を楽しむ英国発イベント「TWEED RUN」を国内各地で催すアパレルブランド「ユナイテッドアローズ」(東京)、衣類検品大手ヤマサワプレス(東京)の協力を得て、東北で初となるイベントを実現させる。
小林さんは夜の森地区出身。富岡二中の卒業式当日に震災が起きた。山梨県の高校を卒業し、服飾専門学校を経て東京のアパレル会社に勤めた後、斎藤さんと一緒にヨノモリデニムを開いた。「大好きな古里で人と人がつながるイベントにしたい」と成功を誓う。
町商工会青年部長を務める斎藤さんが運営委員長、ユナイテッドアローズ上級顧問の栗野宏文さんが実行委員長、ヤマサワプレス代表の山沢亮治さんがスペシャルアドバイザーを担う。参加費5千円。10月上旬から参加者を募集する。地場産品を味わえるパーティーも開く予定。問い合わせは、ヨノモリデニムへ。