廃炉まで「関わる」 IAEA事務局長、高校生に 福島県富岡町で交流会
高校生の質問に答えるグロッシ事務局長(左から2人目)
2024/03/14 09:32
福島第1原発を視察後、報道陣の取材に答えるグロッシ氏
来日中の国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は13日、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出への評価だけでなく、溶融核燃料(デブリ)取り出しや除去土壌の対応など廃炉作業にIAEAとして協力する考えを示した。福島県富岡町の町文化交流センター「学びの森」で開かれた県内の高校生との交流会で、参加者の質問に答えた。
磐城桜が丘高2年の太田諒さん(16)が処理水を巡り「最後の一滴が放出されるまで寄り添う」としたグロッシ氏の過去の発言を引き合いに、燃料デブリ取り出しなど廃炉作業についても監視・協力を得られるかと質問。グロッシ氏は「処理水だけでなくデブリ、除去土壌も対応しなければならない問題。私が事務局長でなくなっても後任が引き継ぎ、関わりはつながっていく」と約束した。
グロッシ氏は福島第1原発を訪れ、処理水の放出設備などを確認。視察後に報道陣の取材に答えた。放出開始から半年余りが過ぎた現状について「われわれの期待に沿った形で運用されている。大変満足だ」と評価。処理水に含まれる放射性物質トリチウムの濃度も「非常に低いレベルで勇気づけられる結果」とした。
一方、放出完了までは長い道のりになるとした上で「『最後の一滴まで』という姿勢で、放出の度にモニタリングや分析、処理の手順を確認しなければならない」と話し、今後も状況を注視するとした。地元の漁業者らの声に耳を傾けていく必要性にも触れた。
グロッシ氏の第1原発視察は昨年7月以来で、海洋放出後は初めて。高校生との交流会や視察に先立ち、いわき市で国の廃炉・汚染水・処理水対策福島評議会に出席した。