カメラで残す被災地福島県浪江町 避難の管野さん(栃木県在住)写真集出版 「風化させたくない」

 

写真集「故郷」を手にする管野さん

 

2025/01/19 10:50

 

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で福島県浪江町から避難した写真愛好家管野千代子さん(78)=栃木県那須塩原市在住=は、震災後の町や人々を写した写真集「故郷」を出版した。個展を開いた経験はあるが、写真集の刊行は初めて。「震災や原発事故を風化させたくないという一心で、撮った写真をまとめた」と語った。

 管野さんは医師をしていた夫の転勤で、1976(昭和51)年に浪江に移り住んだ。40歳ごろから写真撮影を始めた。震災後、避難生活を送る中で「今、浪江を撮っておかなくては」と使命感に駆られカメラを手にした。

 写真集には約80点を収めた。津波にのまれた沿岸部の請戸地区、避難で人がいなくなった町内を闊歩(かっぽ)する牛―。震災の深い爪痕を感じさせる写真が並ぶ。避難先の仮設住宅でたくましく暮らす町民の生き生きとした表情を捉えたカットも多い。「浪江は海も山もあり、人情がある良い町だ。今は離れたが、故郷への思いを糧として生きている」とタイトルに込めた思いを明かした。

 500部発行し、県内の岩瀬書店6店舗で取り扱っている。価格は1000円(税込み)。浪江町の図書館などにも寄贈する予定。

 

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