【師走ひと模様】歴史つないで1世紀 福島県いわき市の「鳥静」

 

「骨付き唐揚げ」の調理作業を見守る後藤さん

 

2025/12/02 11:06

 

 昭和が始まって100年目の年の瀬。「昭和元年創業」の看板を掲げる、福島県いわき市常磐関船町の「鳥静」にジューシーな唐揚げを買い求める人たちが次々と訪れる。4代目社長の後藤寛行さん(53)は「長年買ってくれているお客さんも多いんです」と目を細める。

   ◇   ◇

 茨城県から移り住んだ曽祖父の清蔵さんが、いわき湯本の温泉街に鶏肉専門の精肉店を開いた。2代目の静夫さんが「骨付き唐揚げ」を考案。名物として定着した。当時、周辺は石炭採掘で栄え、精のつく鳥料理は労働者の人気の的となった。寛行さんの父一郎さんが1985(昭和60)年に現在の場所に支店を構え、レストラン事業に本腰を入れるようになった。2022(令和4)年に一郎さんが亡くなり、寛行さんが経営を引き継いだ。コロナ禍で経営状況が悪化したため、テイクアウト専門に切り替えた。

   ◇   ◇

 間もなく一年で最も忙しくなるクリスマス。期間中は骨付き唐揚げを2千本以上売り上げる。約15分、じっくりと揚げた伝統の逸品だ。「お客さんに笑顔になってもらいたい一心で営業している」。1世紀続いた名店の信念はぶれない。

 

 住所はいわき市常磐関船町志座7。営業時間は午前10時30分から午後6時まで。今月は2、9、16、22、29の各日が休み。問い合わせは鳥静へ。

 

関連記事

ページ上部へ戻る