成人式の「密」防げ 県内各地で工夫 分散開催や看板設置見送り
来年1月に行われる成人式まで2カ月を切り、県内の各市町村は新成人の晴れ舞台を祝おうと、新型コロナウイルス感染対策に知恵を絞る。出席者を地域ごとに区分する分散開催、アトラクションの短縮などで「三密」回避に万全を期す。振り袖の着付け、メーキャップなどを通して一生に一度の記念日を支える業者も「新しい様式」に対応。予約者が他の客と接する機会を減らすため、受け付けで時間調整するなどして準備を進める。
矢祭町は式の当日、出席する新成人約50人全員にフェースシールドを渡す。数年ぶりに再会する出席者が多いため、顔の半分が隠れるマスクではなく、透明なフェースシールドで同級生の顔を見ながら会話を楽しんでもらいたいと考えた。
和装に合わせて特別な化粧を施す女性にも配慮した。化粧移りの心配がなく、記念撮影などにも対応しやすい。町の担当者は「同級生が集まる貴重な機会。感染予防に対応しながら、楽しい思い出をつくる場にしたい」と話している。
県内最大規模の約2600人が新成人となる郡山市。例年は市内全域から一堂に集うが、今年度はビッグパレットふくしまで午前、午後の2回に分けて開催する。参加者は各回1300人前後に抑える一方で、会場は例年の2倍の広さを確保し、新成人が座る椅子の間隔は前後2メートルを空けるようにする。
白河市は記念撮影スポットとなる成人式用の立て看板を今年度は設けない。友人や家族との撮影で順番待ちの混雑を回避する。市の担当者は「写真撮影の場を提供できないのは残念だが、新しい生活様式に対応しながら最大限のお祝いをしたい」と語った。
新成人を晴れ舞台に送り出すため、写真館など関係業者も対策にアイデアを練る。
振り袖のレンタルや当日の着付け、メークを施す福島市のフォトスタジオ若葉は予約の時間を細かく区切り、新成人や家族が他の客と会わないように時間配分に細心の注意を払う。メークで使用するリップやアイシャドウの筆は使い捨てにするなど、感染防止対策を徹底する。カメラマンの安西香澄さん(55)は「出席する新成人を全力でサポートしたい」と意気込んでいる。
郡山市のフォトスタジオポラリスは例年、午後から開始だった郡山市の式が午前にも行われるため、午前4時すぎから店を開けることにした。これまでは着付けを大部屋で複数人同時に行っていた。今年度は仕切りを設け、利用客同士の接触を減らすよう配慮する。