地下水累計100万トン放出 処理水には抵抗感

東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水の処分方針を巡り、海洋放出を軸に最終調整している政府は、処理水のトリチウム濃度を国の規制基準値の40分の1まで希釈する方向で検討している。

原子力規制委員会が定めるトリチウムの環境放出規制基準値は1リットル当たり6万ベクレル未満。政府は1リットル当たり1500ベクレル未満まで処理水を希釈する方針だ。

一方で、東電は地下水が原子炉建屋に流入し、
溶融核燃料(デブリ)に触れることで発生する汚染水を減らせば、処理水そのものが減るとして、原子炉建屋周辺の「サブドレン」と呼ばれる井戸や建屋に流入する前に「地下水バイパス」から地下水をくみ上げて海に放出している。

このトリチウム濃度は、1リットル当たり1500ベクレル未満。
政府は処理水の濃度をこの地下水と同じ水準とすることで、
風評を最大限抑制したい考えだ。

■ 1万分の1

サブドレンからのくみ上げは2015年9月に運用を開始した。
これまで約1400回放出し、総量は累計約100万トンに上る。

45基のサブドレンから吸い上げ、水質を分析した後、
浄化設備でトリチウムを除くセシウムなどの放射性物質濃度を
1万分の1まで低減させる。
東電と第三者機関が運用目標値を満たすことを確認した上で、
港湾内に排水している。

しかし、建屋の“水際”で地下水の流入を全て食い止めることはできない。
地下水バイパス、1〜4号機周囲を氷の壁で覆う凍土遮水壁、
サブドレンからのくみ上げを実施しても地下水や雨水が建屋に
流れ込み、デブリ冷却のため注入された水やデブリそのものと
混じり合い、汚染水が発生する。

汚染水は多核種除去設備(ALPS)で62種類の放射性物質が
取り除かれるが、トリチウムは除去できずに高濃度で残る。
他に炭素14が排水の法令基準値より低い濃度で含まれている。

■ デブリに接触

ともに規制基準値を下回るトリチウムを含むサブドレンから
くみ上げた地下水と処理水。
多くの人が「同じ液体」として割り切れぬ思いを抱える。

県漁連は、5年前にサブドレンの運用を「苦渋の決断」で認めた。
だが、処理水の海洋放出に断固反対の姿勢を取る。

漁業関係者は「処理水はデブリに触れているという点が、
サブドレンや地下水バイパスからくみ上げる地下水と決定的に
異なる」と主張し、
「社会的影響は比べものにならないくらい大きい」と訴える。

原子力規制委員会の更田豊志委員長も21日の記者会見で、
「事故で損傷した炉心を経てきた水で、
(海洋放出に)強い抵抗感があることは認識している」との
考えを示した。

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