南相馬で震災不明者捜索 福島海上保安部
福島海上保安部は三十一日、南相馬市原町区萱浜の沖合で東日本大震災の津波による行方不明者の潜水捜索を実施した。発見につながる手掛かりは見つからなかった。
宮城海上保安部の巡視船「くりこま」が出動し、潜水士七人が約二時間にわたり活動した。黙とうをささげ、献花した後、沖合約五百メートル、水深約一〇メートルの地点を丹念に捜した。
行方不明者の家族十六人が訪れ、捜索の様子を見守った。原町区の会社員桜田朋房(とものぶ)さん(36)は家族四人と共に、行方不明の父房信さん=当時(67)=に思いを寄せた。昨年十二月に誕生した長女朋枝ちゃんを抱きかかえ、「しんの通った自慢の父。小さくてもいいので手掛かりが見つかってほしい」と願いを込めた。
同市沿岸での潜水捜索は三年連続。行方不明者の家族からの嘆願を受けた市が海上保安庁に要請して実施した。同市では同日現在、八十七人の行方が分かっていない。