伝承館メモリアルイベント 葛尾元村長の松本さん講演

 

 葛尾村の元村長の松本允秀氏(83)は三日、「原子力災害による全村避難」と題し、双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館で講演した。 

 伝承館の「3・11メモリアルイベント」の一環。松本氏は二〇一一(平成二十三)年三月十四日に東京電力福島第一原発3号機が水素爆発した当時を振り返り、「防護服姿の警察官が、すごい形相で爆発を伝えに来た」と語った。国の指示を待たずに全村避難を決断した経緯について、「線量計すらない中、村民の命を最優先に判断した」と説明した。 

 松本氏は現在、村内に帰還している。避難が長期化し、かつては同居していた高齢者と若者が、ばらばらに居住している現状を嘆いた。「できる限り村活性化の力になりたい。希望を持って復興を進めてほしい」と村関係者を激励した。 

■伝承館「安全神話の崩壊」解説など 展示物を新たに追加

 双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館は三日から、展示内容の充実に乗り出した。原発の「安全神話の崩壊」の解説など、新たな展示物を加えた。 

 安全神話の崩壊を解説するパネルは、原子炉の構造を説明する資料の前に設置した。東京電力福島第一原発事故を「対策を怠った人災」と指摘。東電や国の津波への備えが「不十分だったことは各事故調査報告書からも明らか」とし、「想定外」の事故ではなかったと強調している。 

 このほか、岩手、宮城両県の被災地と異なる点として、長期避難による震災(原発事故)関連死の死者が増え続けている点に言及し、本県特有の被害状況を伝えている。 

 伝承館は三月末まで被害の大きさや衝撃を伝える実物展示や、より分かりやすい解説物を順次追加する。 

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