福島県内公示地価、下落 8年ぶり コロナ、復興需要減要因

 

 国土交通省は一月一日時点の公示地価を二十三日、発表した。県内の住宅地、商業地、工業地の全用途を合わせた平均変動率はマイナス0・2%となり二〇一三(平成二十五)年以来、八年ぶりに下落した。県や専門家は新型コロナウイルス感染拡大による経済活動停滞の影響をはじめ、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に伴う復興関連需要が落ち着いてきたことなどを要因としている。

 福島県の全用途の全国順位は、前年の十九位から九位に上昇した。全国の平均変動率が都市部の下落でマイナス0・5%となったため、福島県の順位が相対的に上がった。 

 商業地は上昇三十四地点、横ばい十三地点、下落五十四地点だった。新型コロナ感染拡大の影響は営業自粛などで売り上げが落ち込んだ飲食、宿泊、観光の各業種で顕著に見られる。特に夜型の飲食店が多く立ち並ぶ福島市や郡山市などでの下落率が大きくなっている。 

 住宅地は上昇百十七地点、横ばい七十三地点、下落百二十六地点となった。郡山市やいわき市、須賀川市など二〇一九(令和元)年十月の台風19号で浸水被害を受けた地域では需要の減退が続いている。住宅地の上昇率を市町村別で見ると、富岡町がプラス2・4%でトップ、浪江町は同1・2%で続いた。富岡町では廃炉関連の事業所・宿舎用地の取引が活発化している。 

 ただ、全県的には復興関連需要は大きく減少しているため、国土交通省地価公示県代表幹事の佐藤栄一県不動産鑑定士協会副会長は「需要は完全に落ち着いた」と分析している。

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