【復興への動脈】「命つなぐ道」充実 難所減、沿線住民に安心感 救急医療

 東北中央自動車道「相馬福島道路」の全線開通は、沿線住民の「命をつなぐ道」のさらなる充実をもたらす。

 相馬市の相馬消防署救急係長の林貴之さん(44)は「東北自動車道との接続で、県北を中心に中通りへの救急搬送がスムーズになり、緊急時などの選択肢が広がる」と説明する。

 相双地方には重篤患者を受け入れる三次救急医療機関がない。相馬地方広域消防本部や福島河川国道事務所によると、相馬市と新地町、南相馬市の三市町では、重症患者の約八割が福島市の福島医大付属病院に搬送されている。二〇一九(令和元)年十二月に相馬インターチェンジ(IC)-霊山IC間がつながり、一一五号国道に比べて急勾配や急カーブが激減。揺れによる患者への負担は減り、同病院までの搬送時間も二十五分短縮され五十九分となった。

 同消防署は、相馬地方から福島医大への陸路搬送は相馬IC-霊山IC間と一一五号国道などを経由するルートが中心で「全線開通後も基本的には変わらない」とみる。ただ、一般道が混雑する通勤時間帯などに東北自動車道方面へ迂回することも可能になる-としている。

 一方、中等症患者などは伊達市の北福島医療センターや国見町の公立藤田総合病院など専門的な医療技術を持つ医師がいる県北の病院への搬送も考慮でき、選択の幅が広がるのではないかとみている。林さんは「全線開通後の相馬福島道路の活用法を探り、よりスムーズな救急対応につなげられれば」としている。

 一般住民も全線開通に期待を寄せる。相馬市中心部から約二十五キロ離れた市西部の山あいの玉野地区。住民約三百五十人が暮らすが、多くは高齢者だ。介護が必要で隣接する伊達市の施設でデイサービスを受ける人や、公立藤田総合病院などに通院する住民もいるという。玉野区長会長の伊藤一郎さん(73)=玉野第四区長=は「高齢運転者も多く、走りやすい道で相馬や中通りの市街地に出られるのは助かる」と話す。

 伊藤さんや地区住民は、県北地域とのアクセス向上によって介護や医療面などの利便性がさらに高まることを願う。「急病や災害などの緊急時に住民を支えてくれる道路があることで安心感は高まる。私たちにとって、まさに“命の道”だ」

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