福島県浜通りに廃炉産業構築 2020年代半ば 東電第一・二原発構内か周辺
東京電力は二〇二〇年代半ば、廃炉産業を浜通りに根付かせるため、廃炉関連製品工場を福島第一・第二原発の構内か周辺に新設する。東電が二十七日、発表した。東電やメーカー、地元企業で共同事業体をつくり、これまで福島県外で製造していた廃炉関連製品を浜通りで生産することで廃炉ビジネスの裾野を広げる。さらに二〇二〇年代に廃炉に必要な技術開発施設などを順次整備し、浜通りで一貫した廃炉事業の実施体制の構築を目指す。
廃炉関連製品工場をはじめ、汚染金属を除染・破砕する減容施設、放射性物質の分析施設などを設ける。これまで東京都内の企業や海外に発注していた廃炉の中核技術・製品の製造などを浜通りで一貫して担う産業基盤を築く。
施設整備に伴う経済効果は、建設時の投資額が約五千億円、工事従事者は一日当たり約三百人、最盛期は約千人に上る見通し。運用時の浜通りへの経済効果は年間二百~三百億円、年間約三百人の雇用創出を見込む。
新設される廃炉関連製品工場では、福島第二原発の使用済み核燃料キャスク(容器)を製造する。将来的には福島第一原発の溶融核燃料(デブリ)を収める容器や関連機械の製造を見据える。設立当初は従業員約百人で約三十億円の売上を想定する。デブリ関連製品の製造開始後は約二百人が働き、売上は百億円超と試算した。
共同事業体のメーカーには鉄鋼などの業種を想定する。例えばキャスク製造の場合、原子炉圧力容器の製造と同程度の高度な技術を要する。このため、設置当初は東電やメーカーを中心に工場運営・製造を担い、段階的に地元からの参入を進める方針。今後、いかに原子力関連企業と地元企業の技術格差を解消するかが課題となる。