根本さん入選(福島県浪江町) 「上田三四二短歌フォーラム」

 

 福島県相馬市に避難している浪江町の詩人・根本洋子さん(79)は、兵庫県小野市で開催された「第32回上田三四二記念小野市短歌フォーラム」の一般の部に作品を投稿し、入選15首に選ばれた。

 投稿した短歌は「パラ選手 出前授業で見せる技 健常者の児(こ)ら 息飲む前で」。パラリンピック選手が県内の児童と交流したというニュースに触れ、テレビで見た子どもたちの生き生きとした表情が印象的で、作品に詠んだという。

 小野市出身の歌人・上田三四二氏を顕彰する同フォーラムには今年、全国から一般の部に1149首、学生の部に7146首の計8295首が投稿された。

 根本さんの作品は上位五席に次ぐ入選15首となった。選者は現代短歌を代表する歌人の馬場あき子さんで、根本さんは「短歌界の大御所から評価していただけたのは素直にうれしい」と笑顔を見せる。新型コロナウイルス感染症の影響で現地での表彰式は中止され、先日、賞状などが自宅に届いた。

 「入賞は大きな励み」と話す一方、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故により今なお古里を離れて暮らす悲しみや望郷の思いを忘れない。根本さんは「避難者たちの思いを風化させないよう、言葉で発信し続けたい」と誓っている。

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