インターハイサッカー男子2024年度から福島県で固定開催 Jヴィレッジ拠点に沿岸南部で試合

 

 全国高校総合体育大会(インターハイ)夏季大会のサッカー男子は2024(令和6)年度以降、福島県で固定開催される。Jヴィレッジ(楢葉・広野町)を拠点に、いわき市など県沿岸南部で試合を行う見通し。全国高校体育連盟(全国高体連)が決定し、内堀雅雄知事が5日の定例記者会見で発表した。本県サッカー界の競技力向上や東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興の追い風になると期待される。

 インターハイサッカーは例年、各都道府県の持ち回りで開催している。全国高体連は猛暑下でのプレーを避けるため冷凉地の実施を模索し、福島県に固定開催を打診した。内堀知事は会見で「復興のシンボルであるJヴィレッジで高校生が熱戦を繰り広げることは、県民に夢と感動を与える」と語った。

 サッカー会場はコートを10面確保する必要があるため、Jヴィレッジの他に広野町サッカー場、楢葉町総合グランド、いわき市のいわきグリーンフィールドの3会場を確保する。松本幸英楢葉町長は「全国から訪れる人に町の魅力が伝わるよう、受け入れ環境の整備に努めたい」と語った。遠藤智広野町長は「双葉地方、福島の復興に向け大きな力になる」と受け止めた。清水敏男いわき市長は「交流人口の拡大が期待でき、市民が高校トップレベルの試合を見る機会も提供できる」と歓迎した。

 2024年度以降に高校生となる中学生は地元でのインターハイ開催を心待ちにする。会津サントスFCの山田英史(えいと)さん(13)=若松一中2年=は練習試合や大会で毎月のようにJヴィレッジを訪れており「サッカーがしやすい環境が整っている」と印象を語る。「t.a.football club(ティー・エー・フットボールクラブ)」主将の小林幸成さん(14)=須賀川二中3年=は「クラブでの成長を生かし、県内の全国舞台に立ちたい」と声を弾ませた。

 7月下旬から8月上旬の8日間、全国から開催県代表を含む52校が参加する。開催地は出場枠が1校増え、本県の出場校は2校となる見通し。11大会連続で今夏のインターハイに出場する尚志高の仲村浩二監督(49)は「県内全体での競技力アップにつながる」、1月の全国高校選手権に出場した学法石川高の稲田正信監督(43)は「出場枠拡大により県内で競技を続けようとする選手が増えるはずだ」と効果に期待する。

 県サッカー協会の菅野貴夫会長(69)は「補助員として運営に携わる高校生や若い世代が、強豪校のプレーを学べる」と波及効果の大きさを強調した。

 インターハイの固定開催はセーリング会場を2015年から10年間、和歌山市の和歌山セーリング沖にしたのに続き2例目。

■関係者、交流拡大と活性化に期待

 大会期間中は選手、スタッフ、観客ら3万5000人超の来場が見込まれ、関係者は交流人口の拡大や経済活性化に期待を寄せる。

 Jヴィレッジでは現在、東京五輪に出場するオーストラリア男子代表が合宿中。日本代表など合宿の受け入れ実績は豊富だが、50を超えるチームが出場する全国大会の開催は初めて。鶴本久也専務(54)は「全国高体連と連携し、選手の宿泊やピッチの管理など課題を整理する」と意気込む。楢葉町の道の駅ならは総務係チーフの小林哲さん(47)は「サツマイモやユズなど町の特産品を全国の人に知ってもらうきっかけになる。農産物の安全性もPRできる」と声を弾ませた。

 いわき市のいわきグリーンフィールドに近い、いわき湯本温泉のホテルいづみや社長で同温泉旅館協同組合の薄羽裕一理事長(51)は「温泉街を訪れたことがない若い世代に宿泊してもらうことでリピーター獲得につながる」と歓迎する。

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