福島県に「まん延防止」初適用 いわき市に重点措置 県全域2度目の非常事態宣言

 

 政府は5日、官邸で新型コロナウイルス感染症対策本部の会合を開き、感染が急拡大している福島県をはじめ茨城、栃木、群馬、静岡、愛知、滋賀、熊本の八県でのまん延防止等重点措置の追加適用を決定した。福島県への適用は初めて。これを受け、福島県は同日夕の対策本部員会議で県独自の「非常事態宣言」を発令した。重点措置の対象をいわき市とし、飲食店に終日の酒類の提供自粛を要請する。同市を除く県全域には酒を提供する飲食店への営業時間短縮、住民への不要不急の外出自粛を求める集中対策の実施を決めた。新たな対策期間は8日から31日まで。

 これまで重点措置は北海道、石川、京都、兵庫、福岡の五道府県で計13道府県に拡大した。直近1週間(7月29日~8月4日)の全国の新規感染者数は前の週の1・96倍、重症者数も4日現在で823人と7月中旬から倍増した。

 政府は本県や北関東などで病床使用率がステージ3(感染急増)から4(爆発的感染拡大)相当に悪化し、医療提供体制への負荷が深刻化している現状などを踏まえ、重点措置の適用を判断した。菅義偉首相は「経験したことのない感染拡大が進んでいる」と強い危機感を示した。

 本県では、直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数がいわき市で87・00人とステージ4の指標「25人」を大幅に上回っているほか、郡山市で33・75人、福島市で26・16人といずれもステージ4の水準にある。この3市を除く全県でも7月下旬から増加傾向にあり、17・39人とステージ3となっている。

 県は病床使用率がステージ4の指標「50%以上」をはるかに超える8割に迫る状況なども考慮し、県全体で感染拡大を抑え込む必要があるとして「非常事態宣言」を発令した。

 重点区域のいわき市では終日の酒類提供自粛のほか、カラオケ設備の利用自粛を求める。営業時間を午前5時から午後8時までに短縮要請する対象は、酒提供の有無を問わず全ての飲食店となり、映画館やショッピングセンターなどの集客施設にも拡大する。要請に応じない事業者には30万円以下の過料を科すこともできる。

 福島、郡山、いわき3市で実施してきた集中対策は対象をいわき市を除く58市町村に広げる。住民への不要不急の外出自粛と酒を提供する飲食店の営業時間短縮を求める。

 要請に応じた店には売上高などに応じて協力金を支給。外出自粛や営業時間短縮の影響を受けて8月の売り上げが2020(令和2)年か2019年の8月と比べて30%以上減少した県内の中小事業者には一律20万円の一時金を支給する。

 内堀雅雄知事は会議後の記者会見で「県内の病床逼迫(ひっぱく)で通常医療や救急医療への影響が既に出ている。デルタ株の広まりで急激にまん延する可能性もある。全県的に人と人との接触を減らすのが不可欠だ」と強調した。

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