東京五輪 復興「伝えられず」58・3%、「伝えられた」37・0% 福島民報社世論調査
福島民報社は福島テレビと共同で福島県民世論調査(第34回)を実施した。「復興五輪」を理念に掲げた東京五輪について、復興状況や支援への感謝などを国内外に伝えることができたと思うか尋ねたところ、「全く伝えられなかった」「さほど伝えられなかった」との回答が合わせて58・3%に上った。「十分に伝えられた」「ある程度伝えられた」との回答は合わせて37・0%だった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興を発信する機会が限定的だったと感じている県民が多い傾向だ。
復興五輪の評価についての結果は【グラフ(1)】の通り。「全く伝えられなかった」が17・7%、「さほど伝えられなかった」が40・6%だった。「十分に伝えられた」は9・3%、「ある程度伝えられた」は27・7%で、「わからない」は4・7%だった。
復興の状況を伝えられなかったとの回答が多かった背景には、福島県福島市の県営あづま球場での野球・ソフトボール競技の無観客開催が影響したとみられる。福島県を訪れる観客がゼロになり、多くの人に福島県産農林水産物のおいしさや福島県内観光地の魅力などを直接感じてもらう機会が失われてしまったことが考えられる。
一方で復興の状況を伝えられたとの回答が約四割に上った要因には、県営あづま球場でプレーした海外選手らの福島県に対する好印象が会員制交流サイト(SNS)などで反響を呼んだことなどが挙げられる。特にソフトボール米国代表のエリクセン監督は「福島の人々は素晴らしい運営をしてくれた。ファーストクラスの対応だ」と絶賛した。表彰式でメダリストに副賞として贈られた花束には福島県産トルコギキョウとナルコランなどが使われ、震災時に国内外から受けた支援に対し感謝の気持ちを伝えた。
調査結果のうち菅義偉内閣を「支持する」と答えた人の回答をみると、「十分に伝えられた」と「ある程度伝えられた」の回答が計55・3%と過半数を占めた。支持層の中でも「さほど伝えられなかった」は32・7%、「全く伝えられなかった」は7・5%で、合わせて4割に上った。
菅内閣を「支持しない」とした回答者では「全く伝えられなかった」と「さほど伝えられなかった」の回答が計72・8%で、「十分に伝えられた」と「ある程度伝えられた」を合わせた25・0%を大きく上回った。
■あづま無観客「評価」76・6% 福島県民世論調査
福島県民世論調査では、福島県福島市の県営あづま球場での東京五輪野球・ソフトボール競技の無観客開催を判断した内堀雅雄知事への評価も聞いた。結果は【グラフ(2)】の通りで「高く評価する」と「ある程度評価する」を合わせて76・6%となった。全国的に新型コロナウイルスの感染急拡大が続く中、福島県民は感染防止対策を重視した無観客開催を支持したことがうかがえる。
「高く評価する」とある程度評価する」はいずれも38・3%、「あまり評価しない」は14・1%、「全く評価しない」は6・6%、「わからない」は2・5%だった。
県営あづま球場での野球・ソフトボール競技は、いったんは有観客開催の方針が7月8日に決定した。福島県は感染拡大の恐れなどを理由に2日後の7月10日に無観客方針に転換し、大会組織委に要請して了承された。