福島・飯舘村の方言1000語、20年かけ書籍化 地元帰還の渡辺さん

 東京電力福島第一原発事故の影響で多くの住民が避難を続けている福島県飯舘村で暮らす運転手の渡辺富士男さん(67)は、村の方言約1000語をまとめた書籍を完成させた。かつてクリーニング店を営み、地域の高齢者宅を訪ね歩く中で方言の魅力に気付かされた。言葉と意味を聞き取り、約20年にわたりノートに書き留めてきた。「方言は心の古里。飯舘の言葉を伝え継ぎ、村民の絆を守りたい」と願う。

 渡辺さんは同村出身。相馬農高飯舘校を卒業後、都内のクリーニング店で腕を磨き、地元に戻り念願の店を開いた。村内唯一のクリーニング店だったが、当初は依頼が少なく一軒一軒訪ねて顧客を得る毎日だった。

 年配の客と話す中で飯舘の方言に興味を持つと同時に、温かい言葉に心が和んだ。店は2007(平成19)年ごろに閉じたが、20年余りで書き留めた方言は約1000語に上り、ノート3冊分になっていた。

 2011年3月に原発事故が起き、日常は一変した。全村避難を強いられ、福島市松川町の借り上げ住宅に身を寄せた。避難中、旧友と方言交じりで会話していると懐かしくなった。「飯舘の言葉をなくしてはならない」。思いは強くなっていった。

 2017年3月に避難指示が解除されると、同年8月に帰村。しまいこんでいたノートを引っ張り出し、編集作業に没頭した。

 書籍は100ページに及ぶ。方言と意味に加え、使用例も併記し若い世代でも分かるように工夫した。写真やイラスト、コラムも盛り込み、用語集にとどまらない内容に仕上げた。イラストは旧知の柴口正武さん(浪江町・なみえ創成中教諭)が手掛けた。

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