コロナ研究拠点に 福島県立医科大学TRセンター 南相馬市に11月開所

 

 福島県立医大が福島県の浜通りに新設する「医療―産業トランスレーショナルリサーチ(TR)センター」の研究施設は、新型コロナウイルス感染症の治療や予防に有効な抗体医薬品の開発プロジェクトなどを進める拠点となる。11月に南相馬市原町区に開所する。地元企業の支援を通じ、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の重点分野である医療関連産業の振興につなげる。

 福島医大が19日、発表した。新施設は福島市の福島医大構内にあるTRセンターの浜通りサテライトとして設置される。

 研究者ら数人が在籍する。TRセンターは新型コロナ感染症から回復した人の血液から感染予防に役立つ抗体を発見しており、浜通りサテライトで関係する研究に取り組む。他の感染症やがんの抗体に関わる研究も進める。

 南相馬市原町区錦町にあるビルの2階フロアを改装し、研究施設とする。実験室4室に加え、ゲノム解析室や執務室などを設ける。

 浜通りへの進出により地元企業と共同で研究を進めるほか、研究成果の企業への提供を通じて医薬品開発を目指す。

 福島医大の竹之下誠一理事長は「浜通りサテライトは、TRセンターの抗体医薬研究の最前線分野を担っていく。(浜通りで作られた)福島の抗体が世界を救うこととなるよう、引き続き研究を推進していく」とコメントした。

 南相馬市の門馬和夫市長は「開設を契機に浜通りへの医療関連産業の集積が図られ、地域医療の強化にも資すると捉えている。大いに期待している」とした。

 TRセンターは福島医大の東日本大震災復興プロジェクトの一環として、2012(平成24)年に福島市の大学構内に設立された。医療界と産業界の橋渡し役を担っている。

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