福島第一原発処理水 風評抑制へ国際機関と情報発信強化 政府中間まとめ

 東京電力福島第一原発で発生する処理水の海洋放出処分に伴う風評抑制策などを検討していた政府は24日、関係閣僚会議で中間取りまとめとして当面の対策を決めた。加工、小売など農林水産物の流通過程での公正な取引の指導をはじめ、国際機関と連携した海外への情報発信強化などに乗り出す。風評被害が出た場合の対策として水産物の一時買い取りの基金創設も進める。今後も県や関係団体などから意見を聞き取り、年内に具体的な行動計画を策定する。

 風評抑制に向けた対策では農林水産物の買い控えや買いたたきを防ぐため、復興庁、農林水産省、経済産業省が連携する。卸売、小売など各業者に対し、県産品などの取り扱い量や全国との価格差の推移などについて実態を調査し、適性な取引が徹底されるよう国として指導する。加工・流通・小売の各段階の事業者を対象に、安全性についての説明も行う。

 消費者の不安解消を目指し、日頃から接する機会が多いスーパーなどの販売員や旅館従業員、旅行会社スタッフらへの研修などを実施。身近な立場から県産農林水産物などの安全性を伝えてもらう。

 安全性評価で協力を受けている国際原子力機関(IAEA)に加え、経済開発協力機構(OECD)や原子力機関(NEA)とも連携を強め、専門家のワークショップなどを通して世界各国に処理水の安全性を発信する。

 中間取りまとめでは、抑制に努めても風評が発生した場合の対策も盛り込まれた。生産者の中でも特に不安が大きい漁業者のため、支援策を柔軟に実施するための基金を新たに設ける。冷凍可能な水産物の一時的買い取り・保管の他、冷凍できない魚介類の販路拡大支援などの事業にも活用する。

 賠償方針としては間接的被害への対応や、既に支払った一括賠償とは別枠での支払いなどが示された。国は基準などの明示、迅速かつ適切な賠償の実施に向けて東電への指導を強化する。

 閣僚会議の議長を務める加藤勝信官房長官は会議で「風評を生じさせないための取り組みをまず徹底し、安心して事業を継続できる環境を整備する」と強調した。政府は「今後も現場の実態を常に把握する」としており、行政や関係団体への中間取りまとめの内容の説明や意見聞き取りをした上で、行動計画策定に反映させる。

 関係閣僚会議は5月以降、本県をはじめ宮城、茨城、東京の各都県でワーキンググループを計6回開催。行政や生産者団体など計46団体から処理水の処分に伴う課題などを聞き取ってきた。

【政府が打ち出した処理水の海洋放出に伴う中間取りまとめのポイント】

◆風評抑制策

 ▼スーパー販売員や旅館従業員などが消費者に地元産品などの安全性を説明できるように研修を実施

 ▼国際原子力機関(IAEA)などと連携して海洋放出の安全性を確認し、国際社会へ情報発信

 ▼加工、小売りなど農林水産物の流通過程で公正な取引を指導

◆風評発生後の対応

 ▼風評被害による需要減に対応するため冷凍可能な水産物を一時的に買い取る

 ▼東京電力ホールディングス(HD)が必要十分な賠償を迅速・適切に実施するよう指導・監督する

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