政府、2020年代に希望者の帰還目指す 福島県・帰還困難区域の復興拠点外地域

 

 東京電力福島第一原発事故に伴い設定された帰還困難区域のうち、特定復興再生拠点区域(復興拠点)から外れた地域の住民の帰還に向け、政府は31日、原子力災害対策本部と復興推進会議を開き、個別の調査や除染を経て2020年代に希望者の帰還を目指す方針を正式に決めた。意向確認の手法や除染範囲などについて、2021(令和3)年度にも地元町村と詳細な協議に入る。県内からは全域の除染や避難指示解除を求める声が出ていたが、戻る人がいない地域などの扱いについては明記されなかった。

 避難している住民の帰還意向を個別に把握し、国が帰還に必要な場所を除染した上で、2020年代に希望する住民が戻れるよう避難指示解除を進める。営農再開に向けた予定なども聞き取る。

 除染の開始時期は現在整備が進む復興拠点の避難指示解除後になる予定。住民への賠償の支払いの状況などを踏まえ、復興拠点と同様に拠点外の環境整備の費用については国が負担する。

 今年度から住民の意向確認に向けた方法を具体化させる。地元の復興の状況などからすぐに判断できない住民もいるため複数回聞き取りする方向だが、具体的な方法やスケジュール、確認にかける期間などを対象町村と協議するとみられる。帰還する人以外の家屋や土地も含めるかなど除染の範囲や手法も地元と検討するとした。

 帰還希望者以外の家屋や課題の取り扱いについては「今後の課題」として、「地元自治体と協議を重ねつつ検討を進める」との表記にとどまった。

 会合で菅義偉首相は「住民の切実な思いを受け止め帰還に向けた新たな一歩を踏み出すべく方針を決めた。地元と十分に議論し、希望者が帰還できるよう避難指示解除を進める」と述べた一方、帰還困難区域全域の解除について具体的な考えは示さなかった。

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