新型コロナ「抗体カクテル療法」福島県全域で投与可能に 県が体制整備

 

 新型コロナウイルス患者の重症化を防ぐとされる新しい治療方法「抗体カクテル療法」について、県は県全域の医療機関で利用できる体制を整えたと15日、発表した。治療に用いる抗体医薬品の継続的な確保に道筋が付き、新型コロナの入院患者を受け入れている県内42医療機関のうち、約95%に当たる40医療機関で投与が可能になった。軽症や中等症の患者の症状悪化を抑制して回復を早め、重症用病床の逼迫(ひっぱく)防止にもつなげる。

 県新型コロナ医療調整本部会議で示した。軽症や中等症の患者のうち基礎疾患があるなど重症化リスクの高い人を対象とし、2種類の抗体医薬品を混ぜて点滴で投与する。医師の判断に基づき患者に投与される。治療費は全額が国費負担となる。

 医師による経過観察が必要なため入院治療を原則としているが、投与後に宿泊療養に切り替える場合も想定している。外来診療での投与を可能にすることも検討する。

 県によると、対象40医療機関のうち、これまでに35医療機関で抗体カクテル療法が始まり、多くの患者で症状悪化を防ぐ効果が確認されているという。残る5医療機関でも順次、開始する。

 抗体医薬品の供給は各医療機関に一定数の在庫を設け、使用するたびに販売メーカーから補充を受ける仕組み。県が各医療機関から希望数を事前に聞き取り、国と調整した結果、県内に390人分の供給量が割り当てられることが決まった。これを県内各地の医療機関に配分する。

 1箱には2人に投与できる量の医薬品が2種類入っている。混ぜ合わせた後の使用期限は数十時間と短いため、各医療機関で効率的に使用することが課題とされる。

 県内では感染力の強い変異株「デルタ株」の流行に伴い、若年者や中年者でも重症化する事例が相次いだ経緯がある。現時点で県内の重症者用病床は49床に限られている。県は、再び感染が急拡大した事態に備え、軽症や中等症の患者の症状悪化を防ぐ体制構築を一層強める必要があると判断した。

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