「田植踊の歌」奉納し、豊漁や豊作願う 福島・浪江で安波祭
「請戸の田植踊」の歌を奉納する佐々木会長(手前)ら請戸芸能保存会の会員
2022/02/20 17:54
東日本大震災の津波により甚大な被害を受けた福島県浪江町請戸地区の苕野(くさの)神社で20日、豊漁や豊作を願う「安波祭(あんばまつり)」が催された。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、神社関係者らによる神事のみ執り行われた。
同神社の主催。約30人が津波の被害を受けた社殿跡に集まった。同地区の復興や同神社の再建を願う祝詞が奏上された。
伝統の「請戸の田植踊」は披露されなかったが、請戸芸能保存会の佐々木繁子会長(71)=いわき市に避難=の提案により、会員が田植踊の歌を奉納した。佐々木会長は「新型コロナウイルスの早期収束と、一日でも早い神社の再建を願って歌った」と振り返った。
苕野神社の氏子総代長を務める五十嵐光雄さん(74)=富岡町在住=は「田植踊の歌が流れて、人々の思いが一つになったのではないか」と語った。
会場には震災前後に催された安波祭の写真が展示され、参加者は田植踊が披露された当時を懐かしんでいた。
祭りは震災と東京電力福島第一原発事故により中断していたが、2018(平成30)年に地元で復活した。