福島県葛尾村の復興拠点、6月5日軸に避難指示解除へ 村内野行地区
2022/05/13 09:10
政府は東京電力福島第一原発事故による帰還困難区域のうち、福島県葛尾村野行地区の特定復興再生拠点区域(復興拠点)について、6月5日を軸に避難指示を解除する方向で県、村と調整に入った。住民の意見を聞いた上で、最終的な日程を決める見通し。正式に決まれば、帰還困難区域が設定された自治体として、復興拠点全体の解除は初めてになる。
原発事故前は約30世帯が暮らしていた村北東部の野行地区が村内唯一の帰還困難区域に指定された。住民の帰還に向け、2018(平成30)年に約1600ヘクタールのうち約95ヘクタールが復興拠点として認定された。今春の避難指示解除を目指し、国直轄での除染や家屋解体、住民のコミュニティー再生に向けて集会所などを設ける「中心地区再生ゾーン」、田畑や牧草地の利用を回復させる「農業再生ゾーン」などの整備が進められてきた。
関係者の話を総合すると、3月に村除染検証委が、放射線が住民の健康に及ぼすリスクが低いとする報告書をまとめるなど帰還に向けた環境が整ったことを受け、復興拠点全体の避難指示解除の具体的な日程の調整が進んでいるもようだ。
各町村の復興拠点では避難指示解除に向けた動きが進んでいる。双葉町は6月の解除、大熊町は6月末から7月上旬ごろの解除をそれぞれ目指して住民説明会などを進める。富岡、浪江、飯舘の3町村は来年の避難指示解除を目標にしている。