「苦しむウクライナの若者に学ぶ場を」 東日本国際大が避難学生受け入れへ 福島県いわき市と連携

 

2022/05/17 09:28

 

 苦難の環境に置かれているウクライナの若者に学ぶ場を―。福島県いわき市の東日本国際大は16日、ロシアの侵攻によって大学に通えなくなったウクライナ人を留学生として受け入れると発表した。授業料を免除し、学内にある学生寮を無償で提供する。20人前後を想定し、支援体制が充実すれば、さらなる増員を視野に入れる。ウクライナ避難者の入学を認める動きは県内の大学では初めて。市も大学と連携し、戦地から来る若者を後押しする方針だ。

 大学が16日、市内で会見して明らかにした。早ければ6月にウクライナの若者がいわき市で生活を始める。

 大学は東京電力福島第一原発事故の教訓を検証するため、2018(平成30)年8月、チェルノブイリ原発事故に詳しいウクライナの研究者らを招いて国際シンポジウムを市内で開催。大学の教員らと議論を重ね、親交を深めたことが今回の支援につながった。

 大学は今月上旬、文部科学省を通じてウクライナ留学生の受け入れをインターネットで公開した。12日現在、全国の24大学がウクライナの留学生や研究者の受け入れを表明している。東日本国際大には40人超から電子メールで問い合わせがあり、14日現在、10代と20代の計18人の入学願書を受理した。18人は入国に向けてビザを申請している。

 留学希望者の多くは英語が堪能で、日本語や日本文化に関心を持っている。日本語を学ぶ別科に所属して最長2年間学ぶ。大学付属の昌平中や昌平高で英語指導に当たってもらうことも想定している。

 大学はウクライナの若者たちの生活費を確保するため、クラウドファンディング(CF)を繰り広げ、県民の協力を得る。昌平中・高は校内で募金活動を進めている。

 記者会見に臨んだ中村隆行副学長は「入学願書を提出したのは学ぶ意志が強い若者ばかり。何とか応援したい」と言葉に力を込めた。

 記者会見ではウクライナ国外に避難した留学希望の3人のビデオメッセージが放映された。男性(19)は「日本の社会に出て経験を積みたい」と願った。

 ウクライナの留学生が入学した後、日本社会に溶け込めるかが課題となる。大学は学生寮だけでなく、日本人と同居するホームステイを取り入れる可能性を指摘している。さらに日本人学生と交流イベントを催すことを検討している。

 いわき市は大学と連携し、留学生の生活面をサポートする方針。

 

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