国文研が震災遺構の文書保全 福島県浪江町の請戸小

 

請戸小に残されていた文書の保全作業に取り組む西村教授(左)

 

2022/05/18 09:32

 

 国文学研究資料館(国文研、東京都)は17、18の両日、東日本大震災の震災遺構となった福島県浪江町請戸地区の請戸小に保管されていた文書の保全作業に取り組んでいる。請戸地区は津波で甚大な被害を受け、地域の歴史が残された資料はほとんど流されたが、請戸小の学校文書は無事だった。国文研は町教委と連携し、貴重な資料として活用方法を検討する。

 学校文書は明治30年代、昭和40年代の学校沿革史、請戸地区の郷土史など約20冊。地域や学校の歴史が記されており、震災当時は校長室の金庫に保管されていた。津波で水や泥をかぶったが、流されずに残った。

 6年ほど前に町教委が金庫から取り出して町役場に保管し、活用法を模索する中、公文書や歴史資料を管理する国文研に相談。国文研は保全作業や文書の解析、歴史書の作成などで町教委と連携することを決めた。

 保全作業は国文研や町教委などの5人が町役場で進めている。乾燥した文書を1ページずつ丁寧に剥がし、ブラシを使って砂やほこりを落としている。

 初日の作業に臨んだ国文研の西村慎太郎教授は「学校文書が残されていたことは、地域の歴史を後世に伝えるために大きな意味を持つ」と意義を語った。町教委の鈴木智和教育次長補佐は文書の一般公開をする方向で今後、検討する考えを示した。

 

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