東京から福島県飯舘村に移住の塚越さん 12日に果樹園オープン 友情の実、もっと大きく 交流拡大期待
飯舘と渋谷両地区の交流の場として、果樹園をオープンさせる塚越さん
2022/08/07 17:30
東京電力福島第一原発事故の発生直後から福島県飯舘村の復興支援に携わり、東京都から村に移住した造園業塚越栄光さん(47)は12日、村内草野に果樹園をオープンさせる。渋谷区の渋谷公園通商店街振興組合の一員として、村産の花を公園通りに植える活動などに尽力してきた。果樹園を新たな交流の場とし、飯舘と渋谷の住民が手を携えて果樹栽培に取り組む事業などを企画する。「両地域の絆をさらに強め、交流人口拡大につなげたい」と青写真を描く。
果樹園は「渋谷フラワープロジェクト飯舘果樹園」と名付けた。約5アールの敷地に、平均標高約450メートルの冷涼な気候に耐えられる樹種としてリンゴの苗木30本、サクランボの苗木10本を植えた。地元農家らと栽培技術に関する情報を共有し、順調な生育につなげる。
敷地内には2011(平成23)年の東日本大震災と原発事故発生後、11年におよぶ両地域の交流の歩みを記した石碑を設置した。渋谷公園通商店街振興組合の公認キャラクター「くもっくる」の石像もあしらった。
今後は両地域の住民による果樹の手入れ、草刈り、枝払いなどの環境整備イベントを予定している。将来的には果実の収穫体験を通じ、飯舘産農産物の魅力発信を目指す。都内の住民が果樹の苗木を購入し、育てる「オーナー制度」の導入も検討していく。苗木に親しみを持ち、村に繰り返し足を運んでもらう考えだ。実施時期は新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえて判断する。
塚越さんはこれまで、村の子どもたちが夢を書き込んだプランターを渋谷公園通り沿いに設置する活動や、福島民報社など被災3県の新聞社が取り組む「NEXT TOHOKU ACTION(ネクスト東北アクション)」(旧スマイルとうほくプロジェクト)に協力してきた。
2017年に村の「までい大使」に就任した。復興をさらに後押ししたいと考え、2020(令和2)年夏に村に移住した。今年春から、借り受けた農地に果樹園を整備してきた。塚越さんは「多くの人が集い、交流できる拠点となるようPRしていく」と前を見据る。
渋谷公園通りに植えられた花を栽培した、村内松塚の農家高橋日出夫さん(72)は「飯舘に思いを寄せ続けてもらい、ありがたい」と感謝し、「来園者は果樹園以外の地域にも足を運び、村の魅力を感じほしい」と呼びかけた。
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果樹園オープン初日の12日には、現地で記念植樹が行われる。渋谷公園通商店街振興組合関係者と飯舘の子どもたちがリンゴの苗木を植え、末永い交流を誓い合う。