水素充填技術研究センターが運用開始 NEDOが福島県浪江町に整備 国際基準確立へ実証
センター内にあるツインノズル。従来の約1・5倍の速さに加え、ノズル2本で同時に水素を充重填できる
2022/12/13 09:50
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「福島水素充填(じゅうてん)技術研究センター」が完成し、福島県浪江町の福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)敷地内で運用を開始した。トラックなど大型の燃料電池車に高速で安全に水素を充填する技術や国際基準の確立を目指し、実証を進める。国内で初めての取り組み。12日、報道陣にセンターを公開した。
約80㌔の水素を注入できる大型の燃料電池車は国際的に利用拡大の期待が高まっている一方、水素を充填する際の技術や基準は確立されていない。燃料容器が乗用車に比べて大きいため、充填に1時間20分ほどかかり、内部の温度が不均一になる影響を考慮する必要があるため、方法も課題となっている。
センターは大型の燃料電池車に短時間で安全に水素を充填できる方法を模索する。従来の約1・5倍の速さに加え、ノズル2本で同時に充填する「ツインノズル」を設置。水素80㌔を10分程度で入れる技術の実用化を見込み、水素を注入した場合の容器の圧力上昇率などを調べる。水素計量システムの精度を高める試験も実施する。
NEDOから委託を受けた産業技術総合研究所や日本自動車研究所など6社が来年度から実証を本格化させる。大型燃料電池車の普及拡大や水素ステーションの設置促進などにもつなげる。
NEDO燃料電池・水素分野担当の大平英二さんは「安全なルール作りが求められている。大型燃料電池車を使うための基盤となる研究を進めていきたい」と話した。