もてなし多彩に いわきFC、J2開幕まで1週間 旅館や商店、歓迎ムード

 

いわき湯本温泉の古滝屋。特設のいわきFCコーナーもあり、今季開幕に期待を膨らませる

 

2023/02/11 09:30

 

 福島県いわき市のJR湯本駅周辺の街灯には「いわき湯本温泉はいわきFCを応援します」と書かれたタペストリーが掲げられている。湯本駅はいわきFCのホーム戦が行われるいわきグリーンフィールドから最も近い駅だ。地元有志は11日、このタペストリーを張り直す。企画した青果店「石河屋」の石河美奈さん(49)は「まずは街の景観を整え、サポーターを迎えたい」と開幕を楽しみに待つ。

 いわき湯本温泉の老舗旅館「古滝屋」には開幕戦を見に来る人の予約が入っているという。今季J2に所属する全22チームのユニホームを集め、リーグ戦の順位変動に応じて並べ替えて展示する企画を検討中だ。里見喜生社長(54)は「アウェーから来た方に地元の熱量を感じてもらえるはずだ」と張り切る。湯本温泉に近いスパリゾートハワイアンズは、ホーム戦の観戦者を対象に割安の宿泊プランを用意した。

 市も地元の歓迎ムードを後押しする。市が2023(令和5)年度の一般会計当初予算案でいわきFC応援関連として計上するのは1億2662万円で、今年度の3・5倍増となる。

 予算増額の背景にはJ2昇格に伴う経済波及効果への期待がこもる。昨季J2の1試合当たりの平均観客動員数は約5000人で、昨季J3だったいわきFCの2200人と比べ2倍以上だ。内田広之市長は9日の会見で「アウェーから来るサポーターを手厚くもてなす」と言葉に力を込めた。

 ただ、地元からはいわきグリーンフィールドへのアクセスの不便さや、交通渋滞を懸念する声が上がっている。JR湯本駅から会場まで歩くには約30分かかる。車では10分程度だが、道路は片側1車線で、駐車場は一般の利用者も含めて1500台に限られる。路線バスはなく、これまでホーム戦のたびに交通渋滞が発生していたのが実情だ。

 18日の開幕戦に向け、いわきFCは公園とは別の場所に臨時駐車場4カ所を設け、新たに約8百台分を確保した。一部の駐車場からはシャトルバスを運行する。徒歩での来場を促すため、市は4月以降に湯本駅から会場までの歩道をチームカラーの赤と青に塗り、徒歩で来場した人にクーポンを配る方針だ。

 地元の熱意を維持しながらファンに気持ちよく観戦してもらい、いかに経済効果につなげるか。行政とチーム、地域一体の取り組みが求められている。

 

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