7月下旬、バウムクーヘン工房が誕生 福島県富岡町夜の森地区 にぎわい再生へ「新しい特産品に」
改修中の建物を眺め、工房のイメージを膨らませる遠藤さん
2023/05/17 17:15
福島県富岡町の町商工会長を務める遠藤一善さん(62)は7月下旬、町内夜の森地区にバウムクーヘン工房をオープンさせる。夜の森地区は東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域のうち特定復興再生拠点区域(復興拠点)に含まれており、4月1日に避難指示が解除された。「地域の新しい特産品として広めたい」と決意を示す。
旧木村歯科医院が工房で現在、改修工事を進めている。バウムクーヘンには町内産のコメを原料にした米粉を使う。福島市の専門店から作り方を教わった。プレーン味をはじめ、夜の森地区をイメージした桜風味など3種類を販売する。
遠藤さんは夜の森地区に生まれ育った。1級建築士の資格を持ち、東日本大震災と原発事故が起きる前は、町内で設計事務所を経営していた。家族は避難先のいわき市におり、現在は町内に一人で暮らしている。
周辺の商店などは閉じたままで、買い物の環境整備が課題となっている。遠藤さんは「人が戻るためには店が必要になる。夜の森地区のにぎわいを取り戻すための第一歩としたい」と話している。