若者を社員に迎え入れ、畜産を通した村の活性化を目指す吉田社長（右）

 

2023/06/06 10:26

 

　福島県葛尾村の畜産会社「牛屋」が生産する高品質な羊肉「メルティーシープ」が、村のふるさと納税の返礼品として人気を集めている。とろけるような食感で脂が甘く、臭みもないと好評だ。今春、２０代前半の社員５人を迎えるなど会社の運営面もパワーアップした。輸出も視野に、福島県産の羊肉を国内外に発信したいとの思いを新たにする。

 

　ヒツジの飼育は２０１８（平成３０）年、２０頭から始めた。翌年、ふるさと納税の返礼品に加わり、大きな反響があった。納付額はメルティーシープ導入前の１０倍以上になった。現在は常時１００頭を育てるが、生産が間に合わず商品発送が半年遅れになるほどだ。

　村内と郡山市に設置した自動販売機での冷凍販売も好評を博している。吉田健社長は「東日本大震災が起きた１２年前にこの状況は想像できなかった。今も大好きな仕事が続けられてうれしい」と語る。

　これまで地域になかった名物の誕生が、村の復興につながると考えている。「創業６年目の今がスタートライン。頭数を増やしてメルティーシープの魅力を世界に伝えたい」と、畜産で地域を盛り上げる覚悟だ。