野馬懸の神事 激しく勇ましく 相馬野馬追が閉幕 福島県南相馬市の相馬小高神社

 

走り回る裸馬を素手で取り押さえる御小人

 

2023/08/01 09:17

 

92年ぶりに復活した水合わせの儀

 

 相双地方で29日から繰り広げられた国重要無形民俗文化財「相馬野馬追」は31日、福島県南相馬市小高区の相馬小高神社で野馬懸(のまかけ)の神事を行い、閉幕した。野馬に見立てた裸馬を素手で捕らえて奉納した。

 境内に設けた竹矢来(たけやらい)に、小高郷騎馬会の騎馬が3頭の裸馬を1頭ずつ追い込んだ。御神水(おみだらし)に浸した駒とり竿(さお)を、神前に奉納する神馬(しんめ)となる1頭へ打ち付けた。

 白装束をまとい、身を清めた御小人(おこびと)10人が砂ぼこりを上げて激しく走り回る神馬を目がけて、首や体に素手でしがみついた。足が空中に浮いたまま進み、振り落とされる場面もあったが、無事に捕らえて神前へ献納した。竹矢来を囲んだ多くの来場者から歓声が上がった。

 野馬懸は藩政時代の名残をとどめる神事とされ、相馬野馬追が国重要無形民俗文化財に指定される決め手になったとされる。歴史ある行事を無事に執り行い、全日程を締めくくった。

 

■「水合わせの儀」復活 92年ぶり

 野馬懸では御神水をつくる「水合わせの儀」が92年ぶりに復活した。

 御神水は相馬小高神社の井戸水が使われるが、古くは同じ小高区の日鷲神社の井戸水と混ぜる水合わせの儀を行っていた。1931(昭和6)年を最後に日鷲神社の水が使われなくなり井戸も放置されていた。同神社の西山典友宮司(70)が昨年、井戸を再建。奥州相馬家が相双地方に移り住み、700年の節目を迎えたのを機に相馬小高神社の相馬胤茂(たねしげ)宮司(55)と話し合い、儀式を復活させた。

 31日は早朝、日鷲神社の井戸からくみ上げた水が相馬小高神社に運ばれた。氏子総代や御小人が、相馬小高神社の井戸水と一緒に大たらいに流し入れる儀式を行った。

 

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