観音縁日祭、13年ぶりに復活 9日に福島県南相馬市小高区 避難者戻り、コロナも緩和
やぐらを建てて祭りへの準備を進めながら思い出話で盛り上がる小高区片草の青年団や行政区のメンバー
2023/08/07 09:05
福島県南相馬市小高区片草に伝わる観音縁日祭が9日、13年ぶりに復活する。東京電力福島第1原発事故や新型コロナウイルスの影響で中断していた。主催の片草行政区に住民が徐々に戻り、感染症法上の位置付けが5類に移行したのに伴い、コミュニティー再生を願って再開する。関係者は6日、会場にやぐらを建てるなどして準備を整えた。
観音縁日祭は1557年に再建された片草観音堂の縁日として、70年以上前から催されてきた。地域の大人や子どもが1つの輪になり、踊る盆踊りがメーン行事だったが、原発事故以降、休止している。
小高区は2016年7月に居住制限、避難指示解除準備の両区域が解除された。ただ震災前に566人いた行政区の居住者の多くは地元に戻らず、縁日祭を再び企画するのは難しかった。しかし6月末までに住民が約250人まで増え、縁日祭を運営する環境が整った。
「地域のつながりが強い片草の伝統が絶えしまう」。3月に開いた行政区総会で住民から声が上がり、再開へと動き始めた。20~30代の青年団とOB約20人が、片草公会堂で太鼓や笛の練習に励んでいる。
祭りは9日午後3時から同8時まで、片草観音堂付近の広場で実施する。午後6時30分ごろから盆踊りを予定している。キッチンカーでかき氷やピザを販売する他、金魚すくいやビンゴ大会も楽しめる。
斉藤秀幸行政区長(72)は祭りを小高の全ての子どもに楽しんでもらおうと区内全戸にチラシを配った。「来年につながるように多くの人に来てもらいたい」と呼びかけている。