廃炉への人材育成考える 福島県いわき市で国際フォーラム NDFなどパネル討論
パネル討論でデブリの本格取り出しに向けた意見を語る更田氏(中央)ら
2023/08/29 09:31
東京電力福島第1原発の廃炉を考える「福島第1廃炉国際フォーラム」は最終日の28日、福島県いわき市のアリオスで開かれ、最難関とされる1~3号機の溶融核燃料(デブリ)の本格的取り出しに向けた人材育成や安全確保の在り方を探った。
原子力規制庁、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)、東電の担当者らがパネル討論に臨んだ。NDFデブリ取り出し工法評価小委員会委員長の更田豊志氏(前原子力規制委員長)は「(人材育成は)なかなか苦しい状況にある」とした上で「やりがいを持ってもらえるように技術的な面白さなどを伝えるべきだろう」と指摘した。
東電福島第1廃炉推進カンパニー廃炉技術担当の飯塚直人氏は「廃棄物の分析や(廃炉作業で使うロボットの)遠隔操作を担う人材を育てることが重要だ」と述べた。原子力規制庁核物質・放射線総括審議官の佐藤暁氏は「福島第1原発の検査は通常の原発と異なる。長い目で職員を育成して派遣したい」と語った。
1979(昭和54)年の米国スリーマイルアイランド原発事故発生後の対応に関わった独立原子力コンサルタントのゴードン・R・スキルマン氏は「理工学部の大学生らに原発でどんなことができるかを伝えた」と経験を振り返った。
フォーラムはNDFの主催で7回目。27、28の両日で廃炉関係者や地域住民ら計596人が参加した。終了後、NDFの山名元(はじむ)理事長は報道陣の取材に、参加者との質疑応答が繰り広げられたことに触れ「福島の皆さんの声を聞くとの目的は十分に達成できた」と総括した。