40年前の被爆体験談集、タイ語版を出版 福島県相双地区20人の証言 タイ国立大でテキストに

 

福島県相双地区在住者の被爆体験談集「私も証言する―ヒロシマ・ナガサキのこと―」(右)と、タイ語版

 

2023/09/03 09:09

 

 元高校社会科教諭の山崎健一さん(77)=福島市=が40年前に書き上げた福島県相双地区在住者の被爆体験談集「私も証言する―ヒロシマ・ナガサキのこと―」のタイ語版が出版された。タイ国立大でテキストとして使われている。山崎さんは「こういう時代だからこそ、平和の大切さを世界に届けたい」と語る。

 山崎さんと交流のある南相馬市の高橋美加子さんの長男秀一さんの妻であるタイ国立のシーナカリンウィロート大助教授パットオン・ピパタナクルさんが南相馬市を訪れた際、「私も証言する」を知った。原爆関連の本が少ないタイの人たちに戦争や原爆の恐ろしさを伝えたいと、日本語専攻の学生や日本人留学生と協力して約3カ月かけて翻訳した。

 タイの学生からは「将来、教師になり、平和の大切さを伝えたい」「悲しくて涙が出た」―の感想が寄せられたという。パットオンさんは「タイの学生が戦争について知ることができた。今後もたくさんの人に戦争や核兵器の恐ろしさを伝えたい」と話している。

 タイ語版には日本原水爆被害者団体協議会編集の体験談の一部も盛り込まされた。

 「私も証言する」は、山崎さんが原町市(現南相馬市)の高校教員だった1982(昭和57)年から1年間かけて、相双地区に住んでいる20人から話を聞き取り、翌1983年夏に出版した。

 

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