【浜通り豪雨】内郷地区に支援センター 9月13日市が設置へ 現地需要吸い上げ 福島県いわき市

 

いわき市の内郷駅前公園に持ち込まれた大量の災害廃棄物。この公園は市が開設した仮置き場ではない=12日午前11時ごろ

 

2023/09/13 10:49

 

内郷商工会館1階で床上浸水被害の状況を説明する中沢事務局長

 

 台風13号による浜通りの集中豪雨から12日で5日が経過した。各地で復旧作業が続く中、いわき市は浸水被害が集中した内郷地区に「現地支援センター」を13日に設置すると発表した。被災者の需要を現地で吸い上げ、迅速な対応につなげる。一方で、いまだに避難生活を強いられている住民もいる。

 市災害対策本部によると12日午前10時現在、浸水被害は床上と床下合わせて計1379棟。避難者数は13世帯24人で、11日午前10時の8世帯15人から増えた。一度避難所を出て自宅に戻ったが、自宅の被災状況から再び避難所に身を寄せる住民がいるという。

 市の現地支援センターは内郷地区の立町集会所と上代集会所に30日まで設置される。支援物資の配布や復旧作業用の物品貸し出し、罹災(りさい)証明の申請などを受け付ける。支援に関する要望などを把握するとともに、情報提供に努める。同地区は水害で車を失った人が多く、移動手段に困る被災者向けに市が現地での対応を決めた。

 災害ボランティアは現在も人手が足りていない状況で、市は県外からの活動希望者も13日から受け付ける。災害廃棄物は受け入れを始めた11日に車両936台が搬入した。市の施設で対応可能とみており、広域処理の予定はないという。

 被災した学校では再開の動きが出た。校舎1階部分が浸水したいわき市山田町の菊田小は復旧作業が終わり、13日から再開する。同じく浸水や停電被害のあった同市内郷宮町の宮小は15日まで休校を継続する。

 

■いわき市開設の仮置き場以外 数十カ所に災害廃棄物 やむを得ず持ち込みか

 台風13号による豪雨災害を受け、いわき市内で床上浸水した住宅などから出た災害廃棄物が、市が開設した正式な仮置き場以外の場所に置かれていることが分かった。市が11日時点で把握しているだけで数十カ所に上るという。市が11日に仮置き場を設置する前の9日以降に持ち込まれたとみられ、現在も増え続けている。市は回収・撤去を進めるとともに市が開設した仮置き場に持ち込むよう呼びかけている。

 

 市によると、正式な仮置き場を設置する以前に自治会などから要望があり、公園や空き地などに廃棄物を一時的に置くことを市は容認した。ただ、正式な仮置き場設置後も廃棄物はなくなっていない。内郷宮町の国井信一宮一区長(74)は、市や地元関係者にかけ合って地区内に仮の集積場を開いた。国井区長は「廃棄物の搬出先に困っている人がいた。運転免許証を返納し、車で遠くの仮置き場に運べない高齢者もいる」と理由を説明する。夜は見回りし、災害廃棄物以外のごみが持ち込まれていないか確認している。

 内郷駅前公園にはドラム缶や家電、畳などが山積みとなっている。近所の60代男性は「家の前に災害廃棄物を置く場所を確保できない人が、やむを得ず持ち込んだのでは」と理解を示す。一方、70代男性は「産業廃棄物のようなものもある。多くの人が利用する駅前で保管するのは、いかがなものか」と指摘した。

 保管場所として適切でなかったり、分別が徹底されなかったりするため、市は「ここは災害廃棄物の仮置き場ではありません」との看板を置き、廃棄物を持ち込まないよう訴えている。

 内郷二中の敷地内にある駐車場にも家電や家具などが積まれ、市は日中、校門に職員を配置している。

 現在、市内の仮置き場は勿来、常磐、内郷の各市民運動場と、臨時の旧常磐塵芥収集基地の計4カ所が開設されている。市の担当者は「やむを得ない事情は分かるが、市が開設した仮置き場に置いて」と訴え、「仮置き場に持ち込めない人は、回収車を手配するので相談してほしい」と話している。

 

■内郷商工会、被害状況調査 会員企業支援に奔走 200社が浸水区域内に事業所・店舗

 台風13号による浜通りの集中豪雨で、いわき市の内郷商工会に加入する会員550社のうち半数近くの約200社が、浸水区域内に事業所・店舗を構え、被災した会員はかなりの数に上るとみられることが12日、関係者の話で分かった。商工会職員が現在、被害状況を調査している。商工会の事務局が入る内郷商工会館(内郷綴町)も床上浸水の被害を受けており、職員は職場の復旧と会員の支援に奔走している。

 今回の豪雨で、いわき市内の床上浸水の9割超が内郷地区に集中した。内郷商工会の湯沢良一会長(59)=いわき市内郷白水町、いわき石商社長=によると、今回浸水した区域内にある会員約200社は、何らかの被害を受けている可能性があるという。湯沢会長も自宅と会社が床上浸水し、業務用のトラック7台と重機類4台が水没し、損害額は数千万円に上る見通し。「借り入れをしないと事業再開できない。各会員とも、コロナ禍の影響が残る中での被災は厳しい」と表情を曇らせた。

 鉄骨2階建ての内郷商工会館は1階の床上1メートル20センチまで水が上がり、縦3メートル、横5メートルのモルタル製の壁が水圧で内側に倒れた。会員のデータが入ったパソコン8台や帳簿類が浸水した。職員が復旧作業に当たりながら、現地調査を通じて会員の被害状況の把握に取り組んでいる。中沢秀夫事務局長(61)は「早急に調査を進め、支援策につなげたい」と語った。

 県商工会連合会は内郷商工会にパソコンを貸与した他、応援職員を派遣するなど支援に着手している。

 

■災害復旧職員派遣 いわき市が要請へ 県内外の自治体に

 いわき市は県内外の自治体に対し、災害復旧に関わる応援職員約60人の派遣を要請する。15日の市災害対策本部で正式決定する。被害を受けた家屋のり災判定の調査や保健師の健康調査などを手伝ってもらう予定。内田広之市長は「全国の自治体から応援の申し出が相次いでいる。早期復旧に努めたい」と話した。

 

■福島など3県13市町 交付税前倒し配分へ

 松本剛明総務相は12日の記者会見で、台風13号に伴う大雨で被災した福島と茨城、千葉3県の13市町に、11月分の普通交付税を一部前倒しして配分すると明らかにした。災害対応の資金繰りに支障が出ないようにする。近く配分額を決める。

 13市町はいわき市と南相馬市、茨城県日立市と高萩市、北茨城市、千葉県茂原市と鴨川市、山武市、大網白里市、睦沢町、長柄町、長南町、大多喜町。

■「ライドいわき浜海道」中止 市内の復旧状況を考慮

 いわき市沿岸部の「いわき七浜海道」で16日に開催予定だったサイクリングイベント「ライドいわき浜海道」は、台風13号で豪雨被害を受けたいわき市内の復旧状況を考慮し、中止となる。主催者が判断した。

 福島民報社と県自転車競技連盟、県サイクリング協会、一般社団法人みんぽうスポーツ・文化コミッションの主催。9、10の両日に浜通りで開かれる予定だった自転車ロードレース大会「ツール・ド・ふくしま2023」の開催記念イベントとして企画され、いわき市の夏井川サイクリング公園発着のコースで催す予定だった。

 

■勿来沖の遺体 身元が判明

 いわき市の勿来沖で11日に見つかった身元不明の遺体は、茨城県日立市の40代男性だった。福島海上保安部が12日、発表した。

 男性は台風13号による大雨の影響で8日夜から行方不明となっていた。男性の生前のカルテ記録と同保安部が茨城県警日立署に送った男性の歯型の写真を照合し判明した。同保安部によると、死因や死後の経過日数などは明らかになっていない。

 

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