双葉町に観光向けホテル 大和ハウス子会社整備国際会議誘致も 2025年度開業目指す
大和ライフネクストが双葉町の中野地区復興産業拠点に整備する大型ホテルの完成
2023/11/01 09:16
大和ハウスの子会社「大和ライフネクスト」は双葉町の中野地区復興産業拠点に大型ホテルを整備する。2025(令和7)年度の開業を目指す。浜通り最大級となる約300人が収容できるカンファレンス(会議室)を備え、国際会議の誘致を見込む。相双地方に多く立地する単身向けホテルと差異化し、インバウンド(訪日客)を含む観光客を対象とする。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの教訓を学ぶホープツーリズムの受け皿としての役割も担う構想だ。
東日本大震災・原子力災害伝承館北側の敷地約2・3ヘクタールに新設する。相双地方には作業員らを対象にしたホテルが多く、団体客が宿泊できる施設が少ないのが現状。一方、ホープツーリズムで被災地を訪れる団体は海外も含め増加している。整備予定地の近隣には県復興祈念公園が建設中で、来町者はさらに増える見通し。町と同社は観光客や団体客の受け入れ体制を強化し、町の交流人口拡大や被災地の地域経済活性化につなげたい考えだ。
カンファレンスの延べ床面積は約400平方メートル。隣町の浪江町には福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)の本施設が今後整備され、各国の研究者らによる国際会議、学術会議などでの利用を想定する。教育機関や企業の研修での活用も視野に入れる。
ホテルの名称は「FUTATABI FUTABA FUKUSHIMA」(仮称)。双葉の再生や町民らとの再会などの意味を込めた。建築費は数十億円規模となる見通し。経済産業省の自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金を活用する。来春の着工を目指す。
5階建てで、ダブルやツイン以上の客室100室を設け、200人以上が宿泊できるようにする。地元食材を使ったレストランや地場産品を扱うショップも置く計画で、宿泊者以外も立ち寄れるようにする。屋上には安らぎ空間の「スパ」なども設置する予定。ラウンジや図書室機能も入る構想だ。従業員は地元から30人以上の雇用を想定している。開業後の利用状況を見て、増築も検討する。
31日、東京都で町と大和ライフネクストが企業立地協定を結んだ。伊沢史朗町長、竹林桂太朗社長が協定書を交わした。伊沢町長は「世界に福島の復興を発信する場所になると確信している。双葉町が着実に復興している姿も多くの人に見てもらえる機会が増える」と期待した。竹林社長は「復興の礎の一つとなるよう力を尽くす」と誓った。政府原子力災害現地対策本部長を務める岩田和親経済産業副大臣が同席した。
被災地では、浪江町のJR浪江駅周辺にもホテルを整備する計画がある。