特定帰還居住区域で除染開始 大熊、双葉 表土削り取りや家屋解体前調査

 

特定帰還居住区域の家屋解体前調査で家財などを運び出す作業員=双葉町

 

 

2023/12/21 08:56

 

報道陣に公開された特定帰還居住区域の先行除染現場=大熊町

 

 環境省は20日、東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域のうち、福島県大熊、双葉両町の特定帰還居住区域の除染作業を開始し、報道陣に現場を公開した。改正福島復興再生特別措置法に基づき創設された新区域での除染は初めて。

 今回の除染範囲は、計画が認定された大熊町下野上1区の約60ヘクタールのうち13ヘクタールと、双葉町の下長塚、三字両行政区の合わせて約50ヘクタールのうち14ヘクタール。大熊町で家屋15件、双葉町で家屋18件を解体する。来年7月までに完了させる。残る地域は環境省が順次、除染を発注する。

 初日は大熊町下野上1区の水田で、作業員が伸びた枯れ草を除草し、バックホーで10センチほど表土を削り取った。双葉町では下長塚行政区で家屋解体の事前調査に着手。作業員が世帯主らの許可を得て室内に出入り、廃棄する布団などの家財道具を運び出した。

 環境省によると、除染が始まった両町の区域内の平均空間放射線量は毎時2・5マイクロシーベルト。国が避難指示解除基準の一つとしている年間積算線量20ミリシーベルト(毎時3・8マイクロシーベルト)を既に下回っている。ただ、放射線量が局所的に高い「ホットスポット」が存在する可能性もあるとして、一層の線量低減を進める。同省福島地方環境事務所の関谷毅史所長は「住民が一日でも早く安心して帰還できるよう、着実に作業を進める」と述べた。

 帰還困難区域を巡っては特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示解除が11月に全て完了した。政府は復興拠点外でも、2020年代中に希望者全員が戻れるようにする方針。

 

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