オウムガイ類化石国内初の2種発見 福島県南相馬市で県立博物館など ジュラ紀、白亜紀境界に生息

 

発見されたシュードノーチラス属の化石標本。中生代のオウムガイ類の化石としては国内最大級

 

2024/02/01 09:35

 

パラセノセラス属の化石標本

 

 県立博物館(会津若松市)の猪瀬弘瑛主任学芸員(40)らの研究グループは、南相馬市鹿島区の地層から中生代ジュラ紀と白亜紀の境界(約1億4500万年前)付近に生息していたオウムガイ類の化石を2種、発見した。いずれも国内初の種で、一つは中生代では国内最大級の直径30センチ超の大きさとみられる。研究グループは、オウムガイ類の進化を解明する大きな手掛かりになると期待している。31日、博物館が発表した。

 

 「シュードノーチラス属」と「パラセノセラス属」の2種。いずれも南相馬市の「相馬中村層群」から出てきた。ジュラ紀と白亜紀の境界付近のオウムガイ類の国内化石はこれで5件となり、今回の2種を含む3件は同市で見つかったものとなった。

 シュードノーチラス属は約1億4500万~約1億3260万年前で、大きさは直径31・2センチ。東北大の鈴木颯一郎さんが2022(令和4)年3月に発掘した。

 パラセノセラス属は約1億5480万~約1億4500万年前で、大きさは約7センチ。相馬中村層群研究会の西夏輝さん(23)=南相馬市在住=が同年12月に見つけた。

 生きた化石として知られるオウムガイ類の現生種は太平洋西部のみに生息している。ジュラ紀には今のヨーロッパや北アフリカ周辺で繁栄し、太平洋西部では化石がほとんど発見されていない。白亜紀になると化石の記録が増えるため、ジュラ紀から白亜紀への移行期間にオウムガイ類が太平洋西部に流入するきっかけとなった大陸移動などの大きな事象が起きた可能性があると考えられている。ただ、ジュラ紀と白亜紀の境界付近の化石はこれまで、相馬中村層群と福井、大分両県での計3点しか確認されておらず、詳細な研究ができなかった。

 猪瀬主任学芸員は「研究を進め、細かな種まで特定したい」と意気込む。西さんは「化石の産地として南相馬市の魅力が伝わってほしい」と望む。

 シュードノーチラス属の化石標本は県立博物館、パラセノセラス属の化石標本は南相馬市博物館で2月1日からそれぞれ展示する。

 

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